お知らせ

2010年5月例会報告

今回は,井本真理さんと沢山美果子さんが「医療史の研究動向と研究課題-近世・近代を中心に-」と題して,報告して下さいました。まず最初に,井本さんが近代における医療史の整理・分析をされ,その後沢山さんが近世部分について報告するというスタイルでした。研究動向としては,1980年代を契機に様々な研究成果が出てくるようになっており,そのことは近世史・近代史に共通しているということが指摘されました。
お二人が作っていた文献目録は,参加した方たちにとって,大きなお土産になったのではないかと思います。

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質疑応答の中では,参加者がそれぞれの経験であったり,研究分野に引き寄せたりしながら,大いに議論が盛り上がりました。それらを乱暴にまとめてしまうと,「医療史」という枠組みからは,国家やその時代を生きる人々の様子を描き出すことができ,また社会史や民俗学などの視点をも含めて考察することができる可能性をお二人の整理・分析から見いだすことができたように思います。

 

今回の試みが,今後どのように発展していくのかが,参加していた一人として楽しみに思います。井本さん,沢山さん,どうもありがとうございました。

次回は,6月20日(日)に広島近世近代史研究会との合同例会を,福山市内で行います。詳しくは,掲示板に掲載いたしますので,そちらをご覧下さい。
また,今年は7月に例会を開催する方向で調整に入っています。決まりましたら,メーリングリストや掲示板に掲載いたします。

2010年4月例会報告

今回は,妻鹿淳子さんが、「万喜の手紙が語る旗本の生活」と題して報告してくださいました。

岡山県北の旧家に残されていた万喜に関する書状20数通を丁寧に分析し,その結果をまとめた内容でした。非常に多くの内容であり,この例会の時間の中で全てを紹介することはできなかったようですが,参加した方との質疑応答が盛り上がったことから考えても,非常に興味深いものでした。

近世後期に旗本の妻であった万喜が見た近世社会はどのようなものであったのか,万喜から見た家とは。など,一つ一つの話題が,女性という視点はもちろんですが,近世社会を考えていく上で貴重なものだったように感じました。

妻鹿さん、貴重なお話をありがとうございました。

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終了後には,会誌120号の発送作業を行いました。お手元に近々届くと思いますので,お楽しみに。振り込み用紙が入っている方は,お手数ですが会費の納入をお願いいたします。

次回は、5月15日(土)13:30~です。

2010年3月例会報告

今回は、大阪大学大学院の森脇崇文さんが、「宇喜多氏分限帳の一考察」と題して報告してくださいました。

複数のテクストが今に伝わる「宇喜多氏分限帳」について、精緻な分析と考察によって、本史料の可能性を確かなものとする内容でした。参加者からは、緻密な考察に対しての高い評価が寄せられていました。また、具体的な支配の実態はどのように考えたら良いのか、家臣団構造の見通しはどうかなど、建設的な話し合いを行うことができました。

森脇さん、貴重なお話をありがとうございました。

次回は、4月17日(土)13:30~です。詳細は、掲示板に載せておりますので、そちらを御覧下さい。

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※まだ、会費をお支払いいただけていない方は、ぜひ納入くださいますようお願いいたします。

2010年1月例会報告

2010年1月例会は,内池が玉野市内旧家所蔵の屏風の裏張り文書を整理した結果を報告いたしました。

報告で検討結果を聴いていただいたところ,推定している内容で良いだろうというお話になり,正式に岡山藩士河合源五郎関係の文書の一部であることを確定いたしました。断簡も多いのですが,丹念に見ていくことで,幕末から明治初期の岡山を考える上で,興味深い情報を与えてくれる資料もあります。
このように史料を保存していくためにも,いろいろなところで「史料は大切ですよ」と呼びかけていくことが大切ではないかという話もいたしました。

本日参加してくださった4名の方には,直接史料を手にとっていただき,いろいろな話をして盛り上がりました。

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ご参加くださった皆さん,ありがとうございました。次回2月例会は,以下のものと兼ねることにいたします。ふるってご参加ください。よろしくお願いいたします。

2009年度史料ネットセミナー
”災害から歴史遺産を守る!”

●今津勝紀(岡山大学)
「歴史遺産の保全と活用をめぐる地域力」
●松下正和(神戸大学)
「水害と歴史資料」
●河野未央・吉原大志(神戸大学)
「水損した歴史資料の保全方法」

*日時:2010年2月13日(土) 13:30~17:00
*場所:瀬戸内市中央公民館多目的ホール
  〒701-4221 瀬戸内市邑久町尾張465-1
*参加無料!!

●主催
岡山史料ネット・岡山県立記録資料館・岡山大学文学部
●後援
瀬戸内市教育委員会

問い合わせ先〒700-8530 岡山市北区津島中3-1-1
岡山大学文学部日本史研究室
  今津勝紀(086-251-7408 kimazu@cc.okayama-u.ac.jp)

2009年12月例会報告

 昨日,12月例会・総会・忘年会が終わりました。
妻鹿淳子さんが,「病者収容施設としての牢屋敷」と題して,近世における病者についての報告をして下さいました。
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 詳細は,ここでは書きませんが,今までとは別の視点で資料を見ていくことによって,江戸時代の病者を取り巻く環境を明らかにできるのではないかと感じました。
また,データを追加して文章化していただけると期待しております。

 総会では,役員選出,決算報告,予算承認,例会報告が行われました。
詳細については,後日会誌やこの場を通じてお知らせいたします。
決算報告,予算承認の中で,会費収益だけでは予算がまわっていかない現状が,村上事務局長より報告されました。基金からの補填を行わなければ,支払いができない状態,つまり経常赤字の実態になっているのです。

 

会費値上げも検討しなくてはならないかもしれませんが,まずは今年の会費を納入しておられない方々は,お手数ですが同封している振込用紙にて今年分と来年分(合計3000円)をお支払いください。
会の健全運営にご協力下さい。よろしくお願いします。

2009年10月例会報告

 10月例会は『長島は語る―岡山県ハンセン病関係資料集・後編』の書評会を行ない、評者には、鳥取県史編纂室の西村芳将さんをお願いした。西村さんは、かつて鳥取県において展開された無らい県運動の経緯を詳細に跡付けた『鳥取県の無らい県運動―ハンセン病の近代史』(鳥取県史ブックレット2、2008)の著者であり、そこでは『長島は語る・前編』に収録した資料もいくつも使っていただいた。今回の書評でも、大部な資料集を丁寧に読み込んで下さり、的確なコメントを頂戴した。会には資料集の編集に関わった関係者も多く出席し、資料調査などの具体的な過程が報告された点でも有意義であった。
 今後、この資料集が大いに活用されることを希望し、また西村さんをはじめ鳥取県の地域史研究者の皆さんとの交流が深まることも期待したい。

(文責:山下 洋)
※当日,内池が急遽参加できなかったため,写真がありません。ご了承ください。

2009年9月例会報告

9月例会は,小学館から発刊された『日本の歴史』の近代部分13~15巻の合評会を行いました。
各巻の担当は,13巻首藤ゆきえさん,14巻山下洋さん,15巻井本真理さん,全体を通して倉地克直さんでした。当日は,15巻の執筆者で,近代の編集委員をされた大門正克さんもお見えになりました。担当してくださったみなさん,大門さん,本当にありがとうございました。

細かなことは,来年発刊予定の『岡山地方史研究』に掲載する文章を読んでいただければと思います。参加した方々からいろいろと意見も出ましたが,あらっぽく一言でまとめると,「これまでの通史とは異なり,民衆の息づかいが感じられるシリーズである」ということでしょうか。
是非,ご一読いただければと思いました。

例会終了後は,場所をかえて懇親会を行いました。いろいろと話の花が咲く,これまた充実した会になりました。

10月例会は,10月17日(土)13:30から,岡山大学総合研究棟2階で行います。先般,岡山県から刊行された『長島は語る(後編)』の書評を行います。ふるってご参加ください。お待ちしております。

                                                             (文責:内池英樹)

(写真は,例会の様子と大門さんです)

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2009年7月例会報告

7月例会は,薗部寿樹さん(山形県立米沢女子短期大学教授)による「岡山県の名主座(宮座)について」の報告でした。薗部さんは,自治体史を活用するだけではなく,可能な限りの史料調査やフィールドワークもされており,山形県米沢市にお住まいにもかかわらず,非常に具体的なご指摘もあり,興味深い報告でした。
名主座が,中世以降どのような形で残ってきているのか等についても指摘されており,近世,近代を研究する参加者にとっても,有益な情報提供であったと思います。
詳しくは後日会誌に原稿を投稿していただけるということなので,そちらの方をお読みいただければと思います。
9月例会を下記の要領で行います。ふるってご参加ください。
なお,当日は15巻の執筆者で,編集委員の大門正克さんもこられる予定です。例会終了後,懇親会も予定しております。

日時:9月19日(土)13:30~17:00
場所:岡山大学総合研究棟2階演習室
内容:小学館『全集 日本の歴史』近代部分3巻の合評会
・『日本の歴史 13』(担当:首藤ゆきえ)
・『日本の歴史 14』(担当:山下洋)
・『日本の歴史 15』(担当:井本真理)
・近代の巻全体のコメント 倉地克直

2009年6月例会

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6月 20日(土)に,第3回広島近世近代史研究会岡山地方史研究会の合同例会が行われました。
会場の福山市生涯学習プラザには,24名の参加者があり,2本の報告と質疑応答が交わされました。ご準備いただいた広島近世近代史研究会の石田さん,本当にありがとうございました。

報告1は,岡山地方史研究会から久住祐一郎さんが,「近世河川交通と地域社会-美作国久米南条郡押渕村船路堰留一件から見えること-」を提供してくれました。美作国の舟運について,地図や絵図,概念図を丁寧に用意してくれていて,広島の方々にも理解していただきやすかったのではないかと思います。地域社会における河川交通の姿をとらえ直そうとした,意欲的な取り組みでした。久住さんありがとうございました。

報告2では,広島近世近代史研究会の平下義記さんが,「明治期大地主の土地所有論理と経済倫理-福山義倉と信岡家を事例に-」を報告してくださいました。
寛政年間に設立された福山義倉の明治期における土地集積の状況についての報告でしたが,丹念な史料の分析を元に,明快な報告がなされました。松方デフレ期の福山義倉をどのように評価するのか,近世と近代の連続・非連続をどのように考えていけばよいのかなど,白熱した議論が交わされました。平下さんの今後の成果がとても楽しみな内容でした。

例会終了後,近くに場所を移して懇親会が行われ,例会と同様大変盛り上がることができました。
一つだけ残念だったのは,岡山からの参加者がわずか3名だったということです。日程の設定も含めて,今後の課題です。

2009年5月例会報告

今日は,難波修さんによって「含章洞本『吉備前鑑』の発見」と題して報告してもらいました。『吉備前鑑』は,近世に記された地誌として知られていますが,詳細な分析はこれまで行われていません。
難波さんの報告によれば,元禄期を中心として『吉備前鑑』が編さんされる一方,それ以前に複数の関連する地誌があり,それらを利用して『和気絹』などが書かれていったということでした。
詳細については,いずれ会誌に掲載されることになると思いますが,これまで史料としては活用されていたものですが,その内容や成立過程についてしっかりとした考察をされたことは,岡山地域の研究にとって非常に有益なことだと感じました。
質疑応答も大変盛り上がり,会が終了しても一部の参加者が残って話し合う姿が見られました。難波さん,興味深いお話ありがとうございました。

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次回例会は,6月20日(土)に,広島県福山市を会場として行います。詳細については,掲示板やメールにてお知らせいたします。ふるってご参加ください。