2015年9月例会報告

9月26日(土)午後、岡山地方史研究会9月例会を行いました(参加者8名)。

報告者は、永山愛さん(大阪大学大学院文学研究科前期博士課程)でした。

題目は「建武政権末期における『将軍家』の移動と諸軍勢 -新見貞直への新見荘地頭職返給の位置-」でした。

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後醍醐天皇の建武政権末期、建武2年(1335)7月に鎌倉で起こった「中先代の乱」鎮定に向かった足利尊氏は、そのまま建武政権に反旗をひるがえし、畿内での合戦を経ていったん九州へ向かい、ふたたび京都に戻ってきます。

足利尊氏はその移動のさなかに活発な軍事編成を行っているのですが、従来の研究ではそうした軍事編成の分析は「いかに室町幕府~守護体制ができるか」という制度研究に終始しており、実態が不明であると指摘されました。

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今回の報告は、「新見庄地頭職」返給を目的として尊氏軍に参加したとみられる新見貞直を手がかりに、武士の戦争参加プロセスの実態把握をめざすものでした。結論に関する見通しについてはここで紹介しませんが、多くの史料を用いて様々な武士の動きを確かめながら、古文書学にも留意しつつ細かい論証を重ねられていました。

会場からは、本報告で述べられた軍事編成と武士の戦争参加プロセスについて、時期的な変化はどうか、実態把握の上にどんな時代像が描けるのかなど、活発に意見交換がなされました。

 

 

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