4月例会(特別企画「博物館の仕事―役割と現状―」)のお知らせ

4月例会を次のとおり開催いたします。

〇4月例会 特別企画「博物館の仕事―役割と現状―」
 地域の博物館は、市民の学習や歴史研究にとても大きな意味を持っています。その現場で日々ご苦労されている人から意見を直に聞き、博物館のあり方について自由に議論したいと思います。たくさんのご参加をお待ちしています。

・日時:4月16日(土)13時30分開始
・場所:岡山県立図書館 2階 多目的ホール
・報告者:
 問題提起
   飯島章仁さん(岡山シティミュージアム)
 現場から
  小島徹さん(津山洋学資料館)
  前原茂雄さん(蒜山郷土博物館)

*新型コロナウイルスへの感染を防ぐため、参加される方は必ずマスクを着用してください。また、体調のすぐれない方は参加をお控えください。皆様のご協力をよろしくお願いします。

*今後の例会の予定は以下の通りです。詳細が決まり次第、随時お知らせします。     
・5月例会
 日時:5月14日(土)13時30分開始
 場所:岡山県生涯学習センター 情報・創作棟4階 中研修室
 報告者:四宮浩さん
・6月例会
 日時:6月4日(土)13時30分開始
 場所:岡山県生涯学習センター 情報・創作棟4階 中研修室
 報告者:覚野凛津子さん、渡世理彩さん

会誌152号を発行しました

12月に152号を発行し、会員の皆様にお届けしました。今号は、以下の内容です。

  • 森俊弘「戦国・織豊期における宇喜多氏の家中編制(二)―主に「戸川家譜」・「浦上宇喜多両家記」を素材として―」
  • 佐々木啓「書評 松岡弘之著『ハンセン病療養所と自治の歴史』」
  • 久住祐一郎「災害と博物館」(歴史随想)
  • 編集後記

購入を希望される方は、事務局までメールをいただければさいわいです。

2017年1月例会報告

129()1月例会を行いました(参加者:6)。辰田芳雄さんが,「林原美術館蔵池田光政自筆・岡山県立博物館蔵池田綱政自筆「古文孝経和歌」について ―明応二年四月二日一条兼良十三回忌追善の勧進和歌の発見― 附録:文明十二年九月一日起日後土御門天皇主催着到和歌」と題して,報告をして下さいました。

報告では,まず一五世紀後半から一六世紀前半に流行した着到和歌の概要について,お話くださいました。この着到和歌の中で『孝経』を題として詠まれたものが一条家に伝わり,池田光政は,次女の輝子が一条家へ嫁いだことから詠古文孝経和歌を入手したのではないかと推測されていました。

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報告後の質疑応答は,大名が和歌を写す意味は何かという点を中心に進みました。池田家に限らず,近世には多くの大名が様々な和歌の抜き書きをしています。辰田さんは,それは公家文化への憧れにとどまらず,中世以来の朝廷を中心とした伝統を利用することが,大名による支配への権威付けに寄与するものではなかったかと述べられていました。また光政が和歌の中でも詠古文孝経和歌を写したことについては,儒学を推進した彼の政治行動を裏付けるという側面が考えられるのではないかとも述べられました。

辰田さん,ありがとうございました。(小野)

2017年1月例会のお知らせ

会員の皆様

明けましておめでとうございます。今年も、どうぞよろしくお願いいたします。

1月例会を、下記の通り行います。ふるってご参加下さい。

なお、2月以降については、調整を行っております。決まりましたらお知らせいたしますので、今しばらくお待ち下さい。

☆1月例会

報告者:辰田芳雄さん

タイトル:林原美術館蔵・岡山県立博物館蔵池田光政・継政自筆「古文孝経和歌」について―一条兼良十三回忌追善の勧進和歌ー

附録:文明十二年九月一日起日後土御門天皇主催着到和歌

日時:1月29日(日)13時半~

場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

内池英樹

2月例会について

2月例会について

下記の要領で行います。すでに、参加希望受付は終了しました。資料の準備等の関係で、新たな参加はお引き受けできません。ご了承ください。

☆2月例会
四国中世史研究会と合同の例会になります。内容は、林原美術館蔵の石谷家文書 を利用した研究発表会を予定しています。
日時:2月27日(土)13:00~
場所:岡山県立博物館講堂
備考:例会への参加にあたっては、資料代500円が必要になります。

3月以降の例会を希望される方は、内池までご連絡ください。

なお、4、5月については、すでに希望がありますので、3月もしくは6月以降の例会となります。ご了承ください。

7月例会報告(「書物・出版と社会変容」研究会との合同例会)

7月4日午後、岡山県立博物館講堂を会場に、岡山地方史研究会7月例会を開催しました。参加者は、約60名でした。
今回は、「書物・出版と社会変容」研究会(書物研)との合同例会で、いつもと内容をかえ、4名の方に報告をしていただきました。
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(報告者・タイトル)
横山定さん「備中松山藩校有終館蔵書」
竹原伸之さん「旧閑谷学校蔵書」
近藤萌美さん「幕末維新期における備前岡山藩国学者小山敬容の祭祀観
          -読書・写本・書物の入手の実態から-」
木下浩さん「江戸末期在村医の蔵書について」

前半のお二人は、備中松山藩と岡山藩の学校の蔵書について、蔵書印やそれぞれの書籍の内容等について報告していただきました。
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後半のお二人には、それぞれ国学者・在村医という仕事を営んでいた人が、どのような蔵書を有していたのか、そこからどのような知を得たり、周辺の人と共有していたのかなどについて話をしてもらいました。

四つの報告をまとめて紹介することは、このホームページでは難しいのですが、いずれの報告も、岡山をフィールドにしたものでしたので、県内の参加者はもちろんですが、県外から参加された方へ岡山の地域史研究から得られた知見をお伝えする機会になったように思いました。

質疑応答の時間には、県外から参加された方を中心にご質問をうけたり、県外の情報提供をいただくようにしました。東北や鳥取などの情報をお聞きすることができたことも、合同例会を開催してよかったと思っているところです。
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例会終了後は、岡山市内で懇親会を行いました。41名の方が集まってくださり、大変盛り上がった中で終了することができました。
このような機会をいただいた書物研の皆様、ありがとうございました。
また、お忙しい中ご報告いただいた4名の皆様にも感謝いたします。お世話になりました。

8月は例会はありません。9月以降の例会については、後日改めてお知らせいたします。

4月例会について

4月18日(土)13時半から、岡山県立博物館講堂にて、同館学芸員の佐藤寛介さんに報告をしてもらいました。タイトルは、「重要文化財 色々威甲冑の新発見と地域史研究」でした(参加者:9名)。

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重要文化財に指定されている色々威甲冑(瀬戸内市 豊原北島神社蔵)の修復にあたり、兜や甲冑に関する詳細な調査を行った結果報告や、豊原北島神社に関連する由来等の文献資料を分析することを通して、地域史にどのように位置づけていけるのかについて話をしてもらいました。

参加者からは、文化財が歴史資料としての位置づけができることや、甲冑の製作地と考えられる大和と当時の邑久郡がどのようなつながりがあったのかなど、文献だけでは明らかにできないことをさぐること等について感想や意見が寄せられました。
佐藤さん、興味深い報告をありがとうございました。
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今回の報告は、昨年度末に刊行された『研究報告』第35号に掲載されているので、そちらもご覧ください。
また、色々威甲冑は、4月22日~5月31日まで岡山県立博物館で展示をしますので、お楽しみに。

5月例会は、5月23日 (土) 13:30から、岡山大学総合研究棟2階 演習室(5)で行います。
報告者は、斎藤夏来さん(岡山大学教育学部)、谷鋪昌吾さん(岡山県職員)で、「栄西認識の変遷と「純粋禅」再考 」です。ご参加、お待ちしています。

2015年3月例会報告

本日、3月例会を行いました。参加者は、10名でした。

報告は、小野博さんで、地域の観光や学習を歴史的観念から盛り上げる提案として、歴史地図をデジタル化したものの利活用の実態や、デジタル画像の商品化などでした。
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写真のように、各地にある文化財を高精細なデジタル画像として撮影し、その画像にGPSデータをつけたり、webへのリンクを設定するなどの方法で、より便利に活用できるような工夫の事例を紹介してもらいました。




参加者からは、地域興しの具体的なイメージや費用のこと、歴史的な取り組みへのさらなる利活用の有効性について話が出ました。
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忙しい中、事例紹介をしてくれた小野さん、ありがとうございました。

次回は、418日(土)13時半から、佐藤寛介さんが「重要文化財 色々威甲冑の新発見と地域史研究」と題して、色々威甲冑の文化財としての評価とあわせて、伝来に関する資料について再検討した結果明らかになったことについて報告してくれます。

場所は、岡山県立博物館講堂です。当日は、1320分までに県立博物館1階エントランスにお越しください。入館の必要はありません。ただし、自家用車で来られる方は別途駐車場代が必要になります。

2015年1月例会

岡山地方史研究 1月例会参加記

先日、1月例会が岡山県立博物館において行われました。当日参加してくださった、森脇崇文さんが参加記を書いてくださいました。 ありがとうございました。写真は、今回は撮るのを忘れていました。すみません。

今年度最初の例会は、岡山県立博物館学芸課の内池英樹氏より、同館で開催中の企画展「戦国大名 宇喜多氏と長宗我部氏」についての解説と見学会がおこなわれた。

本展覧会の目玉と言える資料は、やはり昨年に情報が公開され大きな反響を呼んだ、林原美術館所蔵の石谷家文書だろう。今回の報告でも、同文書についての内容が大きな比重を占めていた。

私が特に興味をひかれたのはパネル展示されている天正6年11月24日付の谷忠澄・中島重房書状である。長宗我部氏の重臣両名が記したこの書状では、信長政権との交渉内容や今後の四国経略の展望などが詳細に述べられている。阿波三好氏が衰退し、長宗我部氏が覇権を握っていく端境期に当たるこの時期の四国情勢は、一次史料から論証できる部分が少なく、必然的に各事象や勢力図の評価には研究者の間で大きなズレが生じている。この書状は、そのズレを補正し、さらには毛利氏・織田氏といった外部勢力と四国とを繋ぎ合わせる重要なピースとなるものだろう。

この書状をはじめ石谷家文書の多くは、これまで二次史料などからおぼろげな輪郭のみが知られていた歴史事象に、確たる徴証を与えつつ他の歴史事象との関連を示唆する内容を含んでいる。「本能寺の変の真相」という報道に覆い隠されている面があるが、今後の戦国史研究におけるこの文書群の重要性はそれだけに留まるまい。今年前半に刊行される資料集が今から待ち遠しい。

石谷家文書以外にも、本展覧会では貴重な資料が多く展示されている。紙幅の都合から一点だけの紹介に絞るが、直家の弟である宇喜多忠家画像は同館所蔵ながらなかなか目にする機会がない貴重な資料である。報告者の内池氏が紹介したように、直家の弟である忠家は、兄の死去から甥の秀家が成長するまで、宇喜多氏を支える役割を担っていた。直家・秀家の陰に隠れることが多い忠家だが、その重要性をフォローし、展示の流れに位置づけようとする姿勢には感銘をおぼえた。

今回の例会では、報告を踏まえた上で資料を実見し、さらに質疑時間も設けられたことで、展覧会の資料はもちろんのこと、その趣旨に至るまで理解を深めることができた。こうした機会を調整していただいた報告者に謝意を表するとともに、今後もこうした「展示担当者をまじえた施設見学」という形式の例会が企画されることを期待したい。
(執筆:森脇崇文)

○2月例会
日時:2月21日(土)13:30~

場所:岡山大学総合研究棟二階 演習室5

報告者:武冨真人さん(岡山大学大学院)

内容:「毛利家における毛利隆元の役割」

○3月例会
日時:3月14日(土)13:30~

場所:岡山大学総合研究棟二階 演習室5

報告者:小野博さん((株)コンテンツ)
内容:地域の観光や学習を歴史的観念から盛り上げる提案
①歴史地図を使用して  ②丹後ちりめんと漫画

12月例会について

11月29日に、少し早かったのですが12月例会を行いました。
当日は、辰田芳雄さんが「勝仁親王主催文明17年9月9日着到和歌の研究」と題して、報告をしてくれました。せっかくの例会でしたが、参加者は4名という少し寂しいものでした。

辰田さんは、着到和歌(一人が上下の句をうたい、百日分すべて参加してつくられる)に載せられた歌を調べることによって、表題のものについては、親王や女性によって歌われたことが明記されており、どのような歌を歌っていたのかを明らかにしていきました。通常、女性たちは記名がないため、誰が詠んだのかわからないそうです。

文化の一端である和歌の世界かも知れませんが、丹念に調べていくことによって、文化から政治の動向を見ることができることを報告してくださいました。また、この分析の過程を高校での総合的な学習の時間で紹介し、「教師自身が調べて感動したことを生徒に伝えていくことの大切さ」があったということも教えてもらいました。

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参加者は少なかったのですが、それぞれの観点から辰田さんの報告をもとに話題が広まっていき、活発な話し合いを行うことができました。お忙しい中報告してくださった辰田さん、ありがとうございました。

今年はこれで例会は終了になります。
次回は、1月18日(日)13時半から、岡山県立博物館で開催予定の「戦国大名 宇喜多氏と長宗我部氏」の展示見学と、石谷家文書の紹介を行うことにいたします。詳細については、年明けに再度お知らせいたします。
なお、総会もその時に行いますので、ふるってご参加ください。