お知らせ

2011年5月例会報告

5月28日(土)13時から、岡山県立図書館2階サークル活動室1において、5月例会を開催しました。当日は、広島近世近代史研究会の方にもお越し頂きました。足下の悪い中、20名を越える方にお出で頂き、ありがとうございました。

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今回は、今年に入ってから存続について話題になっています林原美術館について、展示見学と同館浅利尚民学芸員による活動や資料の様子についてお話いただきました。

最初に私から簡単な林原美術館概要や、存続を巡ることについて情報提供を行いました。その後、林原美術館に移動して、浅利学芸員によるギャラリートークを拝聴しました。

5月29日(土)まで開催中の企画展「華やかな屏風」では、坤與万国全図屏風(世界図)や竹図屏風など、優雅で力強い屏風が展示されており、これまでの調査で明らかになってきたことを、浅利さんの丁寧な解説とともに楽しむことができました。

会場を図書館に戻して、引き続き浅利さんからこれまでの展示等によって分かってきたことや、林原美術館が所蔵している池田家伝来の資料群の意義等についてお話していただきました。岡山大学付属図書館に所蔵されている池田家文庫の資料群とともに考察していくことで、近世大名池田家を復元することができることがわかりました。

質疑応答では、林原美術館の資料の保存状況や、池田家資料の復元に対する見通し等、様々な視点での意見がありました。また、浅利さんが館に戻られた後には、林原美術館の資料をどのように活かしていくべきなのかについても話し合いました。

まとめとしては、林原美術館の展示を見に行き、どのような資料があるのか現物をしっかり見ること、また同館が刊行している紀要を講読して、どのような成果が積み重ねられているのかを知ること、さらには、「傍観者」としてではなく積極的に考えて、周囲の人たちへも働きかけていくことが大切ではないかということになりました。

例会終了後は、駅前の居酒屋において、時間の許す限り両会の参加者の懇親会を盛会の中で終えることができました。

貴重な情報提供をしていただいた林原美術館の浅利尚民さん、ならびに林原美術館の皆様のおかげで、大変盛り上がった会を行うことが出来ました。この場をかりて御礼申し上げます。ありがとうございました。

次回例会は、6月25日(土)13:30から、岡山大学総合研究棟において行います。報告者は森俊弘さんで、題は「関係史料からみた妙善寺合戦―主に古伝承の検討を通じて―」の予定です。ふるってご参加下さい。

2011年4月例会報告

4月16日に、山本太郎さんが「幕末維新期幕府領陣屋元村豪農商の金融―備中国窪屋郡倉敷村大橋家を事例として―」と題して報告をしてくださいました。

 

備中国窪屋郡倉敷村(現倉敷市美観地区)で豪商として活躍した大橋家を中心に

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分析されたもので、文政年間から幕末にかけての大橋家の動向や経済活動の状況などが豊富な資料が用意されていました。

その中からは、時代の状況にあわせてたくましく活動する様子や、幕藩権力の衰退に伴う多額の献金の実態などを知ることができました。
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質疑応答の中で、大橋家当主がいわゆる「身上がり」を求めていたのか、大橋家の経営がひとつの家としての経営なのか、それとも地域経済の中の一部として考えるべきなのか等が話題としてでてきました。

山本さんの著書『
近世幕府領支配と地域社会構造』でも取り上げられている大橋家の研究がさらに進んでいることをおうかがいすることもできました。ありがとうございました。

2011年1月例会

本日,1月例会を開催いたしました。石畑(こくはた)匡基さんが,「宇喜多騒動の再検討と関ヶ原合戦における意義」と題して報告を行いました。

近年,研究が進展している宇喜多氏ですが,大西泰正さんが取り組んでこられている宇喜多騒動について,石畑さんが興味深い視点を設定して報告をして下さいました。いずれ何らかの形で成果を出していただけるのではないかと考えておりますので,簡単な紹介にとどめておきたいと思います。

大西さんが主に用いた史料『戸川家譜』ではなく,別の史料を中心に論を展開されていました。また,極力1次史料を中心に論を展開することを試み,騒動の沈静化に携わったであろう人物の洗い出しを丁寧に行うことで,宇喜多騒動の豊臣政権における位置づけについて考察を行っていました。

質疑応答の中では,騒動の経過の妥当性,史料操作等が中心に話し合われました。終始,石畑さんの熱意と参加者の興味・関心によって,おもしろい話し合いが展開されました。史料が圧倒的に不足している中で,どのようにして,事実へたどり着けるのか,どのような社会背景があったのかについて,丹念に史料を読み込みながら,議論ができたように思います。
個人的には,「一次史料は信頼度が高い」「二次史料は信頼度が低い」という設定に疑問を感じました。むしろ,「確実に利用できるのはどの箇所か」について,しっかりと史料批判を行うことは,一次史料と二次史料いずれにも必要ではないでしょうか。残された史料から何が語れるのか,何が語れないのかを,しっかり考えていきたいものです。

いずれにしても,このように史料の大切さ,史料を読むことの楽しさを再確認できたのは,石畑さんの報告のおかげです。石畑さん,ありがとうございました。

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2010年12月例会・総会

先ほど、12月例会を終えることが出来ました。報告者は松岡弘之さんで、「創設期の長島愛生園における患者統制とその動揺」 と題してお話いただきました。

ハンセン病患者が、日常生活を送る中で、どのような課題が生じたのか、それが1936年に起きた長島事件とどのように関係していくのか等、貴重な資料を用いながら丁寧な分析がされていました。
後日、資料編のような形で刊行される計画があるようなので、詳細はそちらでお読みいただけるのではないかと思います。
松岡さん、貴重なお話ありがとうございました。

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その後、総会を開催いたしました。
会長、事務局、編集局のメンバーについて、総会に参加された方々全会一致で決定されました。体制は次の通りです。どうぞよろしくお願いします。

会長・・・妻鹿淳子
事務局長・・・村上 岳
事務局・・・山本太郎、森 俊弘、内池英樹
編集局長・・・倉地克直
編集局・・・定兼 学、沢山美果子、山下 洋
会計監査・・・金谷芳寛

また、先の会誌をお送りした際に、現行の1500円から2000円へと、会費を上げることについてお知らせしていたと思います。総会でおはかりしましたところ、全会一致で会費を、2000円へと上げることを決定いたしました。

正式には、文書を配布することになると思いますが、皆さんご理解・ご協力いただきますよう、よろしくお願い致します。

来年、1月例会は下記の通りです。ふるってご参会下さい。どうぞよろしくお願い致します。
☆1月例会
日時:1月22日(土)13:30~
場所:岡山大学総合研究棟2階演習室
報告者:石畑匡基さん

題目:「宇喜多騒動の再検討」

2010年10月例会

本日、10月例会を開催いたしました。参加者は、5名という少人数でしたが、北脇義友さんの興味深い報告内容に対して、いろいろな議論が展開され、盛会となりました。北脇さん、参加して下さった皆さん、ありがとうございました。

「備前藩の御用石工とその周辺の石工について」という内容で、備前藩の石工として著名な河内屋治兵衛について、様々な記録や事物を網羅的に調査を行った結果を、本日お話していただきました。また、河内屋治兵衛だけではなく、岡山藩内における石工の活動についても考察が行われて、大変興味深い内容でした。詳細については、後日『岡山地方史研究』に掲載予定ですので、しばらくお待ち下さい。

次回は、12月4日(土)13:30~岡山大学文学部1F史学合同演習室にて、「創設期の長島愛生園における患者統制とその動揺」(報告者:松岡弘之さん)を行います。しばらく期日があきますのでご注意下さい。また、当日は総会と忘年会を行います。ふるってご参加下さい。

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2010年9月例会

本日,岡山地方史研究会9月例会を行いました。久野洋さんが「明治中期における進歩党・憲政本党系勢力の地方基盤~犬養毅の選挙地盤を中心に~」と題して報告をしてくれました。11名の参加者があり,活発な意見交換が行われました。

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先行研究において,明治中期では進歩党系は後進地域を中心に活動して,先進地域に新出した自由党系に凌駕されたという成果があるのに対して,本当にそうなのかということを,犬養毅を中心に分析した結果を報告してくれました。
報告後の議論の中で,地域にあった産業(藺草・紡績)との関係や,国政と岡山県政との連動・非連動の部分等が取り上げられました。また,犬養毅自身の動向についてもさらに詳細に分析してみるとおもしろいのではないかという意見も出てきました。

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今回の報告は,久野さんの卒業論文をまとめた物であり,さらに深まって行くであろう部分が見られ,今後の活躍が楽しみになりました。久野さん,大阪から来てもらっての報告ありがとうございました。

次回は,10月16日(土)13:30から,岡山大学総合研究棟2階演習室において,北脇義友さんが「備前藩の御用石工とその周辺の石工について」(仮題)を報告して下さいます。ふるってご参加下さい。

2010年7月例会

7月17日(土)13:30から,7月例会を行いました。
報告者は久住祐一郎さんで,「近世河川交通からみる「流域社会」―高梁川北部流域を中心として―」と題して報告してもらいました。当日は,大阪からも参加者がありました。

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用いた史料は,新見市I家に伝来する河川運に関するものでした。新見藩船差役がどのように機能していたのか,高梁川北部ではどのような物流が行われていたのか等,興味深い報告でした。
流域社会をどのように定義するのか,河川運を担当していた人々の具体像について,近代への展望等,質疑応答も非常に盛り上がりました。
久住さん,忙しい中ありがとうございました。

例会終了後,岡山駅近くで暑気払いを行いました。参加者16名が,時間を忘れて話をすることができました。

お忙しい中,集まって下さったみなさん,ありがとうございました。

次回例会は,9月を予定しております。日時・場所が正式に決まりましたら,掲示板・メーリングリストにてご連絡いたします。しばらくお待ち下さい。

 

2010年5月例会報告

今回は,井本真理さんと沢山美果子さんが「医療史の研究動向と研究課題-近世・近代を中心に-」と題して,報告して下さいました。まず最初に,井本さんが近代における医療史の整理・分析をされ,その後沢山さんが近世部分について報告するというスタイルでした。研究動向としては,1980年代を契機に様々な研究成果が出てくるようになっており,そのことは近世史・近代史に共通しているということが指摘されました。
お二人が作っていた文献目録は,参加した方たちにとって,大きなお土産になったのではないかと思います。

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質疑応答の中では,参加者がそれぞれの経験であったり,研究分野に引き寄せたりしながら,大いに議論が盛り上がりました。それらを乱暴にまとめてしまうと,「医療史」という枠組みからは,国家やその時代を生きる人々の様子を描き出すことができ,また社会史や民俗学などの視点をも含めて考察することができる可能性をお二人の整理・分析から見いだすことができたように思います。

 

今回の試みが,今後どのように発展していくのかが,参加していた一人として楽しみに思います。井本さん,沢山さん,どうもありがとうございました。

次回は,6月20日(日)に広島近世近代史研究会との合同例会を,福山市内で行います。詳しくは,掲示板に掲載いたしますので,そちらをご覧下さい。
また,今年は7月に例会を開催する方向で調整に入っています。決まりましたら,メーリングリストや掲示板に掲載いたします。

2010年4月例会報告

今回は,妻鹿淳子さんが、「万喜の手紙が語る旗本の生活」と題して報告してくださいました。

岡山県北の旧家に残されていた万喜に関する書状20数通を丁寧に分析し,その結果をまとめた内容でした。非常に多くの内容であり,この例会の時間の中で全てを紹介することはできなかったようですが,参加した方との質疑応答が盛り上がったことから考えても,非常に興味深いものでした。

近世後期に旗本の妻であった万喜が見た近世社会はどのようなものであったのか,万喜から見た家とは。など,一つ一つの話題が,女性という視点はもちろんですが,近世社会を考えていく上で貴重なものだったように感じました。

妻鹿さん、貴重なお話をありがとうございました。

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終了後には,会誌120号の発送作業を行いました。お手元に近々届くと思いますので,お楽しみに。振り込み用紙が入っている方は,お手数ですが会費の納入をお願いいたします。

次回は、5月15日(土)13:30~です。

2010年3月例会報告

今回は、大阪大学大学院の森脇崇文さんが、「宇喜多氏分限帳の一考察」と題して報告してくださいました。

複数のテクストが今に伝わる「宇喜多氏分限帳」について、精緻な分析と考察によって、本史料の可能性を確かなものとする内容でした。参加者からは、緻密な考察に対しての高い評価が寄せられていました。また、具体的な支配の実態はどのように考えたら良いのか、家臣団構造の見通しはどうかなど、建設的な話し合いを行うことができました。

森脇さん、貴重なお話をありがとうございました。

次回は、4月17日(土)13:30~です。詳細は、掲示板に載せておりますので、そちらを御覧下さい。

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※まだ、会費をお支払いいただけていない方は、ぜひ納入くださいますようお願いいたします。