お知らせ

2013年5月例会報告

5月31日(土)13:30から、5月例会を行いました。参加者は12名でした。

報告してくださった順は、次の通りでした。
・史料紹介 大森文介の手習い手本 (倉地克直さん)
・近世豪農が残した「記録」の特質について(森元純一さん)
・「柏に鷹図」をめぐって(柳川真由美さん)

以前からお知らせしたように、今回は6年目を迎えた和気町 大國家資料調査の中間報告会で、『岡山地方史研究』127号以降の成果を3人の方がお話しくださいました。簡単にまとめると、以下の通りになります。

Dsc_0500倉地さんは、よくある手習い手本とは違い、大國家の手習い手本は、閑谷学校教授・有吉和介が書いた物で、「学校は何よりも礼儀が優先されるところです」等と礼儀や孝経素読を重視していることを読み取ることができると報告しました。

森元さんからは、大森文助が残した書付類から、文助のライフヒストリーが読み取れることは勿論、どうして文助が家系や家相などに興味を持ち、大切にしていたのかについて報告しました。
そして、文助の行動や記録はイエを軸にしていて、祖父・親・兄弟・世話になった人々への思い出と巡り合わせを、子ども達に言い伝えをしていたことも紹介してくれました。

柳川さんは、「柏に鷹図」(藤井高尚賛あり)と「とりの覚書」という絵画と書付の2点を取り上げ、江戸への訴訟の旅の中でであった様々な出来事をまとめた「とりの覚書」と、最後の場面でたまたま出会った「柏に鷹図」の購入とが、大森文助の心に吉事として残り、藤井高尚に賛を書いて貰うに至った経過等について報告しました。

Dsc_05013人からの報告の後、質疑応答を行いました。その中では、大國家の他の資料の残存状況、文助の家相や占いに対する想いをどのように評価するべきか等の感想や意見が出されました。

現在も資料調査は行われていますので、興味のある方は、和気町の森元さんまでご相談ください。

次回は、6月14日(土)13:30から、岡山県立博物館において特別展「山田方谷」の特別解説と、展示を担当している竹原伸之さんからの報告をしてもらいます。入館料が必要ですが、とりあえず13時以降に受付までお越しください。
また、7月5日の懇親会への参加希望の方は、内池までご連絡ください。当日、急なご参加はお断りすることがありますので、御了知ください。

2013年4月例会報告

4月19日に、木下浩さんによる「江戸末期の在村医の診療圏について」の報告がありました。参加者は、10人でした。Dsc_0200

文久年間に、岡山県南部の医者二名が作成した診療記録や処方記録を元に、二人の医者の診療圏域の様子や、医者の機能について考察をされました。同心円的に広がるものではなく、内容によって違いがあることが分かりました。

今回、報告してくださった内容については、近日、刊行されるとのことですので、詳細はそちらを御覧いただければと思います。

次回は、5月31日です。詳細は、掲示板に載せておりますので、御確認ください。

2014年3月例会

本日、3月例会を行いました。報告は、魚屋翔平さんで、「大内義長当主期における陶晴賢権力の性格と大内氏の権力構造」と題したものでした。

今年度末に、岡山大学大学院に提出した修士論文の要旨をお話しいただいたもので、いずれ文章化されるであろうと思います。

天文20(1551)年に起きた大内氏内部での陶晴賢による反乱後、大内氏当主となった大内義長と陶晴賢とがどのような権力構造を組んでいたのかを、70通以上にも渡る一次史料の収集・分析を行い、明確なものにされていました。

弘治3(1557)年には大内氏が滅んでしまうため、あまりこれまでの研究がなされていない時期ですが、どのような権力構造が毛利氏が中国地方を押さえていく前に成立していたのかがわかる興味深いご研究でした。

来月は、4月19日に例会を行います。内容については、掲示板に出していますので、ご確認ください。Dsc_1011

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2014年2月例会報告

本日、2月例会を行いました。報告は、森脇崇文さんで、「永禄末~天正初期の備作地域と織田・毛利氏」という内容でした。

もともとは10年前に研究していた内容を、これまでの成果を盛り込みながら、戦国大名の毛利氏と織田氏の戦いの場と化した備作地域の状況を考察した結果を報告してくれました。

いくつかの段階にわけて、当寺の様子を再現・考察していくことにより、毛利氏と織田氏だけではなく、宇喜多氏やその他の有力国人たちがどのように動いていったのかを分かりやすくお話いただきました。

質疑応答では、史料の解釈や当寺の国人領主の可能性、寺院勢力と宇喜多氏との関係など、興味深い話が多く、17時まで目一杯盛り上がりました。当日は、徳島県や兵庫県、遠くは石川県からの参加者がありました。ありがとうございました。

なお、今回の報告内容を文章化されるということですので、参加していない方へのレジュメの配付は行いません。ご了承ください。

次回は、現在調整中です。決まりましたら、ご案内いたしますので、しばらくお待ちください。Dscn5280

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2月例会について

大変遅くなりましたが、2月例会が今週末の土曜日に行われます。

日時:2月22日13時~

場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

報告者:森脇崇文さん

タイトル:「永禄末~天正初期の備作地域と織田・毛利氏(仮)」

ふるってご参加ください。

2014年1月例会報告

先日、1月例会を行いました。例会参加者の奥井さんが、下記のような感想を寄せてくれました。報告してくれた山下さんも含めてお世話になりました。

 当日は、山下洋氏による「第十七師団の岡山誘致運動」と題する岡山に設置された陸軍第十七師団誘致の事例の報告を拝聴させていただきました。陸軍第十七師団の駐屯地として、現在の岡山大学津島キャンパス、岡北中学校がその候補地に選定されていく過程を、『山陽新報』などの新聞、機関紙といった史料から考察されていました。

 軍隊誘致に関して、商工会議所を中心とする有力な商工業者、市会や経済協会などの各種団体の先導により、経済効果を期待する都市発展論と結びついて運動が展開される過程を、史料から丁寧に説明されていました。

参加者からは、軍隊誘致に対する市民の反応、娯楽施設や教育機関(第六高等学校)の設置といった都市計画との関連性、軍隊誘致後の軍事演習など地域への長期的影響など、興味深い話が出ていました。私自身岡山大学に通う学生であり、その歴史的背景について勉強することができました。

(文責:奥井翔太)

次回は、2月22日に森脇崇文さんが「永禄末~天正初期の備作地域と織田・毛利氏(仮)」と題して報告します。ふるってご参加ください。

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『岡山地方史研究』131号の発刊について

『岡山地方史研究』131号が発刊されました。内容は、次の通りです。順次,会員の皆様には郵送されたのではないかと思いますが、購入を希望される方がおられましたら、内池までご連絡ください。

岡山地方史研究第131号 2013.12
歴史随想 「日記」資料に寄せて…在間宣久(1)
論文 岡山藩の神職組織と祭祀について…次田元文(7)
論文 近世後期の寺院頼母子と檀家-備中国後月郡の寺院を題材に-…東野将伸(28)
編集後記…(54)
岡山地域史研究文献目録(総説)…(58)

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『岡山地方史研究』130号の発刊について

『岡山地方史研究』130号が発刊されました。内容は、次の通りです。順次,会員の皆様には郵送されたのではないかと思いますが、購入を希望される方がおられましたら、内池までご連絡ください。

岡山地方史研究第130号 2013.9
論文 「法事の赦」の構造分析-岡山藩池田家を事例に–…谷口眞子(1)
合評会・『環境の日本史4』を読む
書評 水本邦彦編『環境の日本史4 人々の営みと近世の自然』…森元純一(16)
書評会参加記…水本邦彦(21)
参加記 水本邦彦編『環境の日本史4 人々の営みと近世の自然』の合評会に参加して…糸川風太(25)
紹介 北村章編『備前国八浜八幡宮関係史料集』…内池英樹(28)
博物館・展覧会めぐり 岡山県立博物館 栄西禅師八〇〇回忌記念事業 平成二十五年度特別展「栄西」を観覧して…辰田義雄(29)
歴史談話室 小瀬中務と小瀬甫庵…大西泰正(35)
岡山地域史研究文献目録(近現代の部)…(46)
編集後記…(37)

2013年10月例会について

10月19日(土)13時半から、岡山大学総合研究棟演習室において、10月例会を行いました。関西大学大学院の古林小百合さんが、「由緒書の成立背景についての考察」と題して、備中国川上郡平川村H家の由緒書を事例に取り上げて報告してくれました。
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村の由緒と家の由緒の共通点と相違点を意識しながら、中世に西遷してきたH家の由緒が、江戸時代を通してどのように生きていたのか等について、興味深い話をしてくれました。

現在作成中の修士論文の途中経過の話でしたが、享保期に成立したと考えられる由緒が、どこまで中世史の事実として通用するかや、近世に於ける豪農経営の一端と由緒との関わりなど、長く続いていったH家の特徴がよく分かるものとなっていました。
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参加者からは、それぞれの興味に沿ってではありますが、家の成り立ちや豪農経営の状況等について活発な質問や意見が出てきました。個人的には、H家がどのように中世における由緒を、近世へ繋げていったのか。また、それを近世の子孫がどのように活用していったのかがおもしろかったです。

古林さん、ありがとうございました。

次回は、11月24日(日)13時半から、岡山県立記録資料館において12月例会を行う予定です。なお、当初予定していた忘年会は、諸般の事情により行わないことにさせていただきます。ご了承ください。

2013年9月例会報告

9月22日(日)に、9月例会を行いました。報告者は糸川風太さんで、「公儀浦触廻達にみる幕府拡大支配の実現とその変遷-紀州藩を中心に-」というタイトルでした。

今年度提出される予定の修士論文の概要で、幕府から出された浦触がどのように廻達されたのか、具体的にはどのような内容が取り扱われたのか、紀州藩領内と他地域との比較等についてお話いただきました。

参加者からは、浦触と通常の村継ぎによる藩触との違いや、年代や内容による扱いの変化、他藩での実態等について質問がでました。触とともに各村々の請印帳が2巻つけられていたことや、決して汚さないようにと特別に付記があったこと等が、私個人としては興味深く思いました。Dscn4626

今後、修士論文にまとめられるということなので、ここでは多くを取り上げませんが、糸川さんが報告レジュメのとおり丁寧にまとめていかれることと楽しみにしております。

次回は、10月19日(土)13:30から、岡山大学総合研究棟2階演習室(5)で行います。
報告者は、古林小百合さんで、タイトルは「村の由緒とその機能―備中国川上郡平川村平川家を事例として―」です。ふるってご参加ください。

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