本日,1月例会を開催いたしました。石畑(こくはた)匡基さんが,「宇喜多騒動の再検討と関ヶ原合戦における意義」と題して報告を行いました。
近年,研究が進展している宇喜多氏ですが,大西泰正さんが取り組んでこられている宇喜多騒動について,石畑さんが興味深い視点を設定して報告をして下さいました。いずれ何らかの形で成果を出していただけるのではないかと考えておりますので,簡単な紹介にとどめておきたいと思います。
大西さんが主に用いた史料『戸川家譜』ではなく,別の史料を中心に論を展開されていました。また,極力1次史料を中心に論を展開することを試み,騒動の沈静化に携わったであろう人物の洗い出しを丁寧に行うことで,宇喜多騒動の豊臣政権における位置づけについて考察を行っていました。
質疑応答の中では,騒動の経過の妥当性,史料操作等が中心に話し合われました。終始,石畑さんの熱意と参加者の興味・関心によって,おもしろい話し合いが展開されました。史料が圧倒的に不足している中で,どのようにして,事実へたどり着けるのか,どのような社会背景があったのかについて,丹念に史料を読み込みながら,議論ができたように思います。
個人的には,「一次史料は信頼度が高い」「二次史料は信頼度が低い」という設定に疑問を感じました。むしろ,「確実に利用できるのはどの箇所か」について,しっかりと史料批判を行うことは,一次史料と二次史料いずれにも必要ではないでしょうか。残された史料から何が語れるのか,何が語れないのかを,しっかり考えていきたいものです。
いずれにしても,このように史料の大切さ,史料を読むことの楽しさを再確認できたのは,石畑さんの報告のおかげです。石畑さん,ありがとうございました。