3月例会を、岡山史料ネットワークセミナーの合同例会として開催いたしました。今回の参加報告は、愛媛県から来られた岡本佑弥さんに参加記を寄せていただきました。
以下は、岡本さんの参加記です。
(参加記)
3月4日(土)、岡山地方史研究会3月例会・2016年度岡山史料ネットセミナーが合同開催されました(参加者:14名、会場:岡山大学文学部会議室)。本例会は、昨年12月に愛媛県松山市で開催され、岡山史料ネットが後援・報告を行った第3回全国史料ネット研究交流集会での議論をもとに、岡山史料ネットの役割を考える場として設けられました。全国史料ネット研究交流集会では、全国各地における地域の歴史資料を保全する実践が報告されています(集会の予稿集はhttp://henro.ll.ehime-u.ac.jp/post-1100/に掲載)。
本例会の概要は次の通りです。
上村和史「岡山史料ネットの活動と各地の動向」
首藤ゆきえ「第3回全国史料ネット研究交流集会へ参加して考えたこと」
以下、各報告の内容を紹介します。
上村報告では、近年の岡山史料ネットの活動として、岡山県文化財等救済ネットワーク(県ネット)とのさらなる連携の在り方が示されました。さらに新たな活動として、災害に即応した史料レスキュー用物資の備蓄状況調査とその意義について説明がありました。全国史料ネット研究交流集会でも報告された上村さんは、各地の動向として、愛媛資料ネット、地域史料保全有志の会の実践を、ご自身が活動に参加された時の写真を用いて、わかりやすく紹介されました。
首藤報告は、全国史料ネット研究交流集会の各地の報告内容を、岡山史料ネット及びご自身が勤務されている井原市での活動において、いかに活かしていくかを提起したものでした。その中で報告者は、災害時における史料ネット、県、市町の役割分担を協議する必要性を挙げられていました。このことは、初動をより迅速に行うためにも、不可欠のことであると考えられます。長年、市史編さん事業や文化財行政に携わる首藤さんは、文化財や市史編さん関係史料の所在確認調査を継続して行っておられます。それとともに、地域の災害の歴史を市民へ伝える小まめな展示や講座の実践について紹介されました。
報告後の議論では、県ネット(自治体文化財担当者)との連携、「予防ネット」として発足した岡山史料ネットの在り方についての大きく二点が主題となりました。
愛媛大学大学院生として愛媛資料ネットの活動に携わっている筆者は、岡山史料ネットの活動に初めて参加させて頂きました。愛媛資料ネットは、2001年の芸予地震直後に発足しており、事前から災害発生に備える目的で発足した「予防ネット」である岡山史料ネットとは発足の経過が異なります。議論のなかで言及された通り「予防ネット」であることは、岡山史料ネットの特徴であり、今回の両報告からも日常から「緩やかな連携」のもとに資料保全活動(とその準備)を行うことの重要性が示されたと考えます。
貴重な報告をして頂いた上村さん、首藤さん、ありがとうございました。(岡本佑弥)
※4月以降の例会については、現在調整中です。決まり次第お知らせいたします。