2013年5月例会報告

 5月18日13時半から、5月例会を行いました。今回の報告は、大阪大学大学院の東野さんに書いていただきました。
 例会の後には、場所を変えて懇親会を開催しました。大変盛況な会となりました。参加してくださった執筆者の皆様、報告をしてくださった森元純一さんありがとうございました。Photo

 今回は、水本邦彦編『環境の日本史4 人々の営みと近世の自然』(吉川弘文館、2013年)の合評会として、森元純一さんにご報告いただきました。参加者は、25名でした。当日は、水本氏をはじめとして、執筆者8名にも足をお運びいただきました。

 前著は、近年関心が高まっている歴史における環境と人の生活との関連について、「大地と社会」、「ヒトと動植物の生態」、「自然と「共生」」の3部10篇の論考によって迫ったものです。
 まず、前著に収録されている10篇の論考それぞれと全体について、森元さんが内容要約と疑問点、問題点を提示されました。
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 参加者からは、江戸時代と現在との「自然」概念の相違、自然と人間の「共生」の内実、自然と人間との関係の段階的変容、海を取り上げた論考が収録されていないことなどについて、多くの質問や意見が出されました。
 個別の質問に対して、各執筆者から丁寧な回答があり、最後に水本氏から本書全体を通じての狙いや、江戸時代の自然と人間の関係の変容についてお答えいただきました。また、水本氏からは編著を作っていく際に苦労した点や、当初の構想などについてもお話いただき、とても興味深いものでした。
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 森元さんの報告をはじめとして、遠方からもお集まりいただいた執筆者、参加者のみなさまからの活発な発言により、大変盛り上がった会となりました。みなさま、ありがとうございました。

2013年4月例会報告

4月20日13時半から,4月例会を行いました。今回は,大阪大学大学院の久野 洋さんが,「明治期地方都市政治史研究の視角-岡山市上水道布設問題をとおして-」と題して報告をしてくださいました。参加者は,15名でした。

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明治時代に行われた岡山市における上水道の布設問題と、当時の政治状況とを併せて分析する事で、「市政刷新」の論理とそれが登場してきた背景を分析する事をねらったものでした。

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参加者からは、用語の確認や、明治期の岡山市の上水道の整備状況や、学区単位で構成されたとした選挙関連団体等のことについて、質問や意見が出されました。久野さんからの積極的な回答も含め、大変盛り上がりました。

久野さん、お世話になりました。ありがとうございました。

次回5月例会は、5月18日(土)13:30~、岡山大学総合研究棟2階演習室(5)において開催いたします。『環境の日本史』4の書評会を行います。

夜には懇親会を予定しております。参加希望の方は、5月10日(金)までに内池までお申し出ください。会場準備の関係上、当日急な参加をお断りすることがありますので、その際にはご了承願います。

2013年2月例会報告

2月9日13時半から,2月例会を行いました。今回は,大阪大学大学院の東野将伸さんが,「近世後期の頼母子講運営と豪農・豪農商」と題して報告をしてくださいました。参加者は,14名でした。

現在の井原市内に残っている平木家文書(庄屋を勤める家)を用いて,精緻な分析を行った結果を,報告してもらいました。50近くの講に参加していた平木家が,どのように関わっていたのかや,ある講の運営の内容についての説明がありました。

参加者からは,頼母子講の機能や地域社会での位置づけ等について活発な意見が出されました。

近代への見通しや,家の経営との関係性など,いくつかの課題点もありましたが,地域社会を見るための一つの視点としての頼母子講の可能性が明らかにされたことが大きな成果だったと思います。
大阪から報告に来てくれた東野さん,報告ありがとうございました。

次回,3月例会は,3月2日の岡山史料ネットのフォーラム参加となります。Dscn4493

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2012年12月例会

 今回の12月例会も前回10月例会と同様に、岡山県立記録資料館が実施している平成24年度第2回調査報告会に参加する形で行われました。一般の参加者も含め12名の方が参加されました。
 報告者の加納亜由子さんは、以前の先行研究では、家の非相続人である当主の弟は「一人前として扱われなかった」と評価されてきましたが、有元家を事例に家の存続において当主の弟の果たした一定の役割を日記から具体的に見てみようという報告でした。
 
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 加納さんの発表のご趣旨ですが、当主勇次郎公務出張中に交わした弟左吉郎の書簡からは、当主不在時は家事・公務とも頻繁に書状を交わして報告し、当主の意思決定を仰いだり、不在の間は当主がつけていた日記も代筆するなど、当主に成り代わって家の業務を代行してることが読み取れる。また、有元家が所持していた「仲ノ田」という土地が不明という土地問題では、当主の留守中に留守を預かる息子喜代蔵に対して書状で「万歳楽」という替え地を宛て年貢を納めるという解決案を弟左吉郎が提示するなど、家のことに関して積極的に発言していることからも、有元家の事例において当主の弟が果たした役割は大きいとの発表趣旨でした。
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 発表後の質疑応答では、一般方を含め参加者各自の活発な意見(感想)が出され、話し合いが大変盛り上がりました。加納さんありがとうございました。

以上の文章は,当日参加された金谷芳寛さんが寄せてくださいました。金谷さん,ありがとうございました。

1月例会は,1月26日(土) 13:30~ 岡山大学総合研究棟2階 演習室3で行います。報告者は,沢山美果子さんで,現在タイトルについては調整中です。決まりましたら,メーリングリストや掲示板で連絡いたします。

 
 

2012年10月例会の報告

本日開催された岡山県立記録資料館が行う平成24年度第1回調査報告会に参加する形で、10月例会を実施いたしました。研究会以外の参加の方も含めると13名の方が居られました。

定兼学館長が、「古文書の整理・保存に関する諸理論と地方史研究について」と題してお話をしてくださいました。
話の概要としては、長期的な視野に立って歴史資料に関係する仕事(本業ではなくても)を続けていく必要があること、文書館学的記録資料整理論に基づいた資料の保存が必要であること等がありました。
お話の中で、「アーキビストは、まず地域(郷土)研究者たれ」と定兼さんが言われた言葉が印象にとても残りました。

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感想を述べ合う場面では、明治の岡山県内の災害記録を見て、現在の我々が学ぶことがあり、そのことを啓発していかなければならないと感じたということや、古文書解読ボランティアが高齢化していくことに危機感を持っているということ、大学生や院生が成果主義に追われて、「資料のある地元を愛する」ことを忘れていて、改めてそのことが大切だと感じた等のことが参加された方々から出ていました。

会の終了後、参加した方々はおのおの閲覧室に行ったり、展示を見学したりして、皆さんそれぞれの研究に資する情報を得ておられたようです。

記録資料館では、11月10日(土)13時30分~15時に、有薗正一郎氏(愛知大学教授)を講師に招いて、「江見農書」について講演会を企画されているようです。興味のある方は、是非ご参加ください。また、記録資料館活動報告資料集『岡山のアーカイブズ』も出されているようですので、ご希望の方は、記録資料館までお尋ねください。

12月例会も、記録資料館が行う第2回調査報告会に参加することにいたします。12月8日(土)13:30~ですので、ふるってご参加ください。

2012年9月例会

台風17号が接近する9月30日の午後、無事に何とか例会を行うことができました。

今回は、辰田義雄さんが、「新見荘の半済」と題した報告をしてくださいました。台風接近の中での開会でしたが、8名が参加してくださいました。辰田さん、参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。

報告の概要ですが、観応3年や文和元年に出された半済令が、新見荘ではどのような動きにつながっていったのか、またそこから見えてくる地域の様子は何かということを、史料を丹念に読まれながら、明らかにされました。

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いずれ論文にされる(かも)とのことでしたので、そちらでの成果をまた教えていただくことを楽しみにしております。

次回は、10月21日(日)13:30~に開催予定です。詳細が決まりましたら、メーリングリスト及び掲示板にてお知らせ致します。

今しばらくお待ちください。

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例会後、ボランティアで会誌の発送を行いました。
岡山地方史研究会の活動は、このようなボランティアで維持されています。是非とも、皆さんの協力をお願い致します。

2012年7月例会

7月21日午後、「「穂田」元清と備中の戦局」と題して、石畑(こくはた)匡基さんに報告をしてもらいました。

毛利の一族としての元清の動きや、位置づけなどを史料を元にお話していただきました。その後、参加者との質疑応答を行いました。
主な内容としては、史料の解釈、発給文書目録の利活用、支城領としての猿懸城の意義、元清の毛利家に於ける位置づけ等が出て、活発な討論が行われました。

例会終了後、岡山市内で暑気払いを行いました。3時間ほどにわたり、参加者同士の懇親を深めることができました。

9月以降の報告者を募集しておりますので、希望の方は、内池までご連絡ください。

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2012年5月例会

本日、5月例会を行いました。報告者は、森元純一さんで、「近世後期における家相の位置づけをめぐって~大國家文書の世界~」という内容でした。

平成21年からはじまった資料調査の成果の一部を、今回はお話ししていただいたのですが、19世紀の大國家(当時は大森家)の心性にせまる興味深い話でした。

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段ボール箱150箱を超える資料群であり、これから資料調査が進む中で、さらに豊かな近世の人々の生活に迫ることができるのではないかと、個人的には期待をしました。

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なお、今回の報告内容も含めて、『岡山地方史研究』127号(今年発刊予定)で文章が掲載される予定ですので、そちらをお待ちください。

次回は、下記の要領で行いますので、ふるってご参加ください。
日時:2012年6月17日(日) 13:30~
場所:岡山県立記録資料館
講演:佐藤大介(東北大学・災害科学国際研究所)

2012年3月例会

本日、三月例会を行いました(参加者:11名)。

報告者は、今年三月で岡山大学大学院を修了される東野将伸さんでした。「幕末維新期の豪農と地域金融」というタイトルで、備中国一橋領内の産物会所や掛屋の機能等について、丁寧な資料収集及び分析を通じて話をしてくれました。

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「公共性」や「前近代的な金融の機能」等について取り上げられており、それらに対して参加者から活発な意見(感想)が出され、話し合いが大変盛り上がりました。東野さん、ありがとうございました。

四月例会は、4月21日(土)13:30~ 岡山大学総合研究棟第4演習室で行います。報告者は内池で、タイトルは「徳島藩関係史料から見た慶長~寛永期の岡山藩(仮)」です。よろしければ、御参会ください。

2012年1月例会

本日,1月例会を行い,19名もの参加者がありました。「近世編纂物に於ける宇喜多騒動関連記事の再検討」と題して,難波 修さんに報告してもらいました。

近世編纂物の書誌をきちんとおさえ,それを元にしながら,江戸時代の人々がどのように戦国末期の岡山を描いたのかを分析された労作でした。書誌学,歴史学等の諸要素が意欲的に盛り込まれたため,難波さんが明らかにした成果が伝わりにくい部分もありましたが,それらを整理して述べていくことで,いくつもの成果が出てくるのではないかと思いました。

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参加者からは,宇喜多騒動の内部構造や,用いた資料の書誌等について質問が出て,大変活発な意見交換がなされました。今後,難波さんによって,今回の報告を整理したものが共有化されることを期待する意見も出ていました。

難波さん,興味深い報告をありがとうございました。

2月以降の例会は,2月18日(土),3月18日(日)を予定しています。詳しくは掲示板,メーリングリストにてお知らせいたします。