2009年7月例会報告

7月例会は,薗部寿樹さん(山形県立米沢女子短期大学教授)による「岡山県の名主座(宮座)について」の報告でした。薗部さんは,自治体史を活用するだけではなく,可能な限りの史料調査やフィールドワークもされており,山形県米沢市にお住まいにもかかわらず,非常に具体的なご指摘もあり,興味深い報告でした。
名主座が,中世以降どのような形で残ってきているのか等についても指摘されており,近世,近代を研究する参加者にとっても,有益な情報提供であったと思います。
詳しくは後日会誌に原稿を投稿していただけるということなので,そちらの方をお読みいただければと思います。
9月例会を下記の要領で行います。ふるってご参加ください。
なお,当日は15巻の執筆者で,編集委員の大門正克さんもこられる予定です。例会終了後,懇親会も予定しております。

日時:9月19日(土)13:30~17:00
場所:岡山大学総合研究棟2階演習室
内容:小学館『全集 日本の歴史』近代部分3巻の合評会
・『日本の歴史 13』(担当:首藤ゆきえ)
・『日本の歴史 14』(担当:山下洋)
・『日本の歴史 15』(担当:井本真理)
・近代の巻全体のコメント 倉地克直

2009年6月例会

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6月 20日(土)に,第3回広島近世近代史研究会岡山地方史研究会の合同例会が行われました。
会場の福山市生涯学習プラザには,24名の参加者があり,2本の報告と質疑応答が交わされました。ご準備いただいた広島近世近代史研究会の石田さん,本当にありがとうございました。

報告1は,岡山地方史研究会から久住祐一郎さんが,「近世河川交通と地域社会-美作国久米南条郡押渕村船路堰留一件から見えること-」を提供してくれました。美作国の舟運について,地図や絵図,概念図を丁寧に用意してくれていて,広島の方々にも理解していただきやすかったのではないかと思います。地域社会における河川交通の姿をとらえ直そうとした,意欲的な取り組みでした。久住さんありがとうございました。

報告2では,広島近世近代史研究会の平下義記さんが,「明治期大地主の土地所有論理と経済倫理-福山義倉と信岡家を事例に-」を報告してくださいました。
寛政年間に設立された福山義倉の明治期における土地集積の状況についての報告でしたが,丹念な史料の分析を元に,明快な報告がなされました。松方デフレ期の福山義倉をどのように評価するのか,近世と近代の連続・非連続をどのように考えていけばよいのかなど,白熱した議論が交わされました。平下さんの今後の成果がとても楽しみな内容でした。

例会終了後,近くに場所を移して懇親会が行われ,例会と同様大変盛り上がることができました。
一つだけ残念だったのは,岡山からの参加者がわずか3名だったということです。日程の設定も含めて,今後の課題です。

2009年5月例会報告

今日は,難波修さんによって「含章洞本『吉備前鑑』の発見」と題して報告してもらいました。『吉備前鑑』は,近世に記された地誌として知られていますが,詳細な分析はこれまで行われていません。
難波さんの報告によれば,元禄期を中心として『吉備前鑑』が編さんされる一方,それ以前に複数の関連する地誌があり,それらを利用して『和気絹』などが書かれていったということでした。
詳細については,いずれ会誌に掲載されることになると思いますが,これまで史料としては活用されていたものですが,その内容や成立過程についてしっかりとした考察をされたことは,岡山地域の研究にとって非常に有益なことだと感じました。
質疑応答も大変盛り上がり,会が終了しても一部の参加者が残って話し合う姿が見られました。難波さん,興味深いお話ありがとうございました。

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次回例会は,6月20日(土)に,広島県福山市を会場として行います。詳細については,掲示板やメールにてお知らせいたします。ふるってご参加ください。

2009年1月例会報告

今年最初の例会が1月24日(土)13時半から、岡山大学総合研究棟2階演習室で行われました。森俊弘さんが「金川松田氏の系譜と事跡―通史的言説の形成過程とその元像―」と題して報告されました。多くの方が参加して下さいました。ありがとうございました。

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(報告概要)森さんの報告は、備前国金川城を本拠地としていた金川松田氏の系譜や事跡について、近世期に作成された資料と同時代資料との組み合わせながら考察を加えたものでした。

使用された資料は多岐にわたっていて、まとめてご紹介できないほどの数でしたが、縁起なども含めてとても興味深いものでした。しかし、参加者からも質問が出たように、松田氏当主と各史料に出てくる人物をどのように特定していくかが、やはり課題として残ったように思います。

また、宗教勢力と松田氏との関係についても、どの時点でどのような目的で松田氏がそのような指向を持ったのか、その後の岡山県地域にどのような影響を与えていったのかも議論がありました。

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森さんも言われていたように、基礎的な事実関係をしっかりと押さえていくような地道な研究がまだまだ必要ですし、今回のような提案を元にいろいろな角度から検証を加えていくことはとても有意義な取り組みだと思いました。

次回は、2月15日を予定しています。詳しくは、掲示板・メールをご覧下さい。

2008年12月例会の報告

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今回から,ブログ形式での月例会報告にしました。

12月13日(土)13時から,岡山大学総合研究棟2階演習室で,藤田則之さんに「片山金弥と窪田善之介の編暦と天体観測について-窪田家資料の記録を中心として- 」と題して報告していただきました。

(藤田報告概要)岡山藩士片山金弥・窪田善之介らによって作成された「岡山暦」は,天保暦と比較してどのような特徴があるのか,またどのように作成されたのかについて,丁寧な分析・報告が行われました。

はじめに近世の暦について説明があり,不定時法による時刻がどのような仕組みで刻まれていたのかを知ることができました。特に,季節によって変化する明六つが,日の出の36分前に設定されていたこと,日食・月食の日時を予想したものを暦にいれていたことには,参加者から多数質問・意見が寄せられました。

また,複雑な計算を行った結果に作成された「岡山暦」からは,当時非常に高度な科学技術を藩士が作成できた岡山藩の教育水準の高さを知ることもできました。

今回の報告内容は,『岡山地方史研究』へ投稿していただけるということですので,詳しい内容はそちらをご覧下さい。

(総会概要)
最初に今年度の例会運営に関することなどについて内池から報告・提案しました。例会は全10回,合計134名が参加してくださいました。ただし,報告者や参加者が固定される傾向が見られるので,積極的な会の活動への参加をお願いしました。
その後,会長,事務局,編集局の選出があり,以下のように決まりました。
会長:妻鹿淳子
事務局:村上 岳 (補佐)山本太郎,内池英樹,森 俊弘
編集局:倉地克直(補佐)定兼 学,山下 洋
会計監査:金谷芳寛

今年度の会計報告・来年度予算については,後日まとまり次第,会誌で公開する予定です。しばらくお待ち下さい。

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