お知らせ

2018年6月例会報告

 630()6月例会を行いました(参加者:15)三宅正浩さんが「八月十五日付池田輝政書状をめぐって ―天正十八年、池田輝政の三河吉田入部―」と題して報告してくださいました。

 三宅さんは新出の史料を用いて,池田輝政の三河吉田への移封をめぐる池田家の動向を検討されました。豊臣政権による小田原攻めから奥羽仕置といった軍事行動の中で,池田家が移封という事態に対してどのように対処していたのかを,史料から読み解いておられました。

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 報告後の討論では,史料の解釈について多くの意見が交わされました。また,当時の大名家の意思決定の在り方や家臣団編成といった点にも議論が及びました。

報告していただいた三宅さん,ありがとうございました。(小野)


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次回の7月例会は下記の要領で行います。ふるってご参加ください。

7月例会

 日時:728() 13:30

 場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

 報告者:内池英樹さん

題目:伊木忠澄旧蔵文書の紹介

 

なお,当日18時から懇親会を行う予定です。参加を希望される方は,720日までに小野まで(kosuke.051.o.1011(アット)gmail.com (アット)の部分を@へ変更してお送り下さい。)ご連絡いただきますよう,お願いいたします。

2018年5月例会報告

 519()5月例会を行いました(参加者:10)。大阪大学大学院の綱澤広貴さんが「近世後期津山松平藩における村方支配機構と下級役人」と題して報告してくださいました。

 綱澤さんは、津山藩松平家を事例として藩の行政機構に属する役人のうち、士格ではない大役人及び小役人と足軽等の奉公人を下級役人と定義します。その上で先行研究を踏まえ、大庄屋の存在する地域での下級役人の機能や権限を検討することで、近世領主支配の特質の解明と大庄屋を介した支配の相対化を目指しました。


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 報告では、史料として藩政日記、勤書、御定書を用い、特に郡代所役人について検討がなされました。その中でも奉公人層で構成される下代に注目しておられました。下代は、奉公期間が長期に渡りかつ世襲であったこと、在村し地域社会の様相を認識しやすい立場にあったこと等から、郡代所において果たす役割が次第に大きくなりその権限も増大していったことを明らかにされました。そして、近世領主支配が大庄屋にとどまらず、広く地域社会へ依存していたことを指摘されました。


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報告後の討論では、様々な論点が挙げられました。下代は自立性を持った集団と言えるのか否か、下代の世襲の実態、郡代所と大庄屋を同次元で扱うことの是非、報告内容の藩政史における位置付けはどのようなものか、松平家の御家門という家格との関係性等といった意見が、参加者の側から提示されました。

報告していただいた綱澤さん,ありがとうございました。(小野)

 

次回の6月例会は下記の要領で行います。ふるってご参加ください。

6月例会

 日時:630() 13:30

 場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

 報告者:三宅正浩さん

題目:「八月十五日付池田輝政書状をめぐって―天正十八年、池田輝政の三河吉田入部―」

2018年4月例会報告

4月例会(参加者4人)
田中さんは、岡山東照宮祭礼の全体像を明らかにする構想で研究を進めらています。
正保2年(1647)の勧請から最後の慶応3年(1867)までの変遷を見ると大きく4期区分できるという。
今回はその第1期池田光政時代の報告でした。
まず、勧請した光政の想いを分析し、氏子町の設定と神輿渡御の道筋を確認されました。
行列については、流鏑馬と馬揃えの上覧から楽人が加わり、やがて軍装行列に変化したと述べられ、それらの意義を田中さんは「東照大権現に供奉する家臣や神職・楽人に、藩政への参画を自覚させるだけのものではなく、見物する家臣家族や領民達にむけて、政策遂行の強化な意志を視覚化するためのものであった」とされます。
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そしてその後は次第に簡略化・儀礼化が進んでいることを論証されました。
討論では、流鏑馬を中止した理由や、「行列儀礼化が政策遂行の訴求装置」とする意味などについて議論となりました。
実に密度濃い充実した月例会でしたけれども、参加者が少なくてもったいない気がいたしました。
田中さんは、この報告をもとに執筆にして公表する意欲をお持ちです。楽しみです。
さらに、第2期以降はどのように展開し、田中氏はそれをどのように評価し、説明されるのか、これまた楽しみです。(定兼)
なお、次回以降の例会は次の予定です。HPへ合わせて掲載の程よろしくお願いいたします。
5月例会
日時:5月19日(土) 13:30~
場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)
報告者:綱澤広貴さん
題目:「近世後期津山松平藩における支配機構の構造と下級役人」
6月例会
日時:6月30日(土) 13:30~
場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)
報告者:三宅正浩さん
題目:準備中

2018年3月例会報告

324()3月例会を行いました(参加者:10)近藤萌美さんが「一岡山藩士家代々の学習活動―藩主家族の側仕えと蔵書形成を中心に―」と題して報告してくださいました。

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近藤さんは、岡山藩に仕えた浅田家に残された諸記録から浅田家歴代当主の経歴を丹念に追い、その職務や知的活動について検討されました。詳細については、岡山県立記録資料館発行の紀要をご覧ください。

報告後の討論では、参加者の側から、浅田家歴代当主が様々な記録を残したことが家臣としての職務とどう関係していたのか、藩政への影響はあったのか、等といった意見が出され、他藩との比較も行われました。

また、報告会終了後に岡山県立記録資料館で開催中の展示150年前のおかやま」について、近藤さんに解説をして頂きました。

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報告と展示解説をして下さった近藤さん,ありがとうございました。(小野)

 

次回の4月例会は下記の要領で行います。ふるってご参加ください。

4月例会

 日時:414() 13:30

 場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

 報告者・題目:田中豊さん「備前岡山の東照宮祭礼―光政・綱政の時代―」

2018年2月例会報告

2月24日午後、2月例会が行われました。今回は、内池昭子さん「小山家文書の史料紹介-明治期、地方における女子修学について-」と、倉地克直さん「池田綱政の発入国と光政」の二本の報告が行われました。

内池さんは、以前『岡山地方史研究』140に掲載した「吉備津彦神社社家 小山家文書について」で紹介した資料群の中にあった、明治期の女性の学びについて書かれている書状を紹介してくれました。
近刊予定の会誌に本日の内容を掲載されるということですので、詳細についてはそちらをご覧下さい。
倉地さんは、岡山大学附属図書館池田家文庫にある綱政宛池田光政書状8点を紹介してくれました。池田綱政の発入国にあたって、細かく光政が指示をしている様子が分かると共に、綱政に期待をしている光政の様子も知ることが出来る史料でした。
内池さん、倉地さん、お忙しい中ありがとうございました。
次回は、3月24日(土)午後を予定しています。詳細については、後日ご連絡いたします。
4月以降についても、決まり次第お知らいたします。いましばらくお待ちください。
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2月例会について

岡山地方史研究会の皆様

寒い日が続いておりますが、お変わり有りませんか。

月例会の日程が決まりましたので、お知らせいたします。当日まであまり日にちがありませんが、ふるってご参会いただきますようよろしくお願いいたします。

今回の例会は、2名の方による史料紹介となっております。

2月例会

日時:224日(土)13:30

場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

報告者・題目:

 内池昭子さん

 「小山家文書の史料紹介ー明治期、地方における女子修学についてー」

 倉地克直さん

 「池田綱政最初の入国と光政」

 なお、3月以降の例会については、現在調整中ですので、詳細が決まり次第、改めてご連絡いたします。

 小野 功裕

 

1月例会報告

 120()21()に,ノートルダム清心女子大学を会場として第4回全国史料ネット研究交流集会が開催されました。二日間の日程の中で,2本の基調講演と各地からの計13本の報告及びポスターセッションが行われました。

これまで岡山史料ネットは,災害に対する「予防ネット」として活動してきました。岡山での開催となった今回の研究交流集会では,以前から指摘されている災害発生前の取り組みの重要性を踏まえ,「地域歴史遺産の減災」について議論が交わされました。

各講演・報告の内容については,後日報告書が作成される予定のため,ここでは省略いたします。

なお,今後の例会については現在調整中です。日程が決まり次第,改めてお知らせしますので,今しばらくお待ちください。(小野)

5月例会報告

513()5月例会を行いました(参加者:17)。今年度から岡山大学大学院社会文化科学研究科に進学された板谷真由さんと山田祐理子さんが、卒業論文を報告してくださいました。

板谷さんは「17世紀後半の新吉原と浅草田町」と題して報告されました。新吉原の周辺地域であった浅草田町をフィールドとして設定し、17世紀における遊女奉公の実態を分析されていました。そして、浅草田町にある遊女屋が新吉原へ遊女を転売していた事例から、新吉原に対しその周辺地域が遊女の供給地として機能していたのではないかと指摘されました。

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山田さんは「近世後期備中の用水組合と地域自治 ―都宇郡沢所組の事例から―」という題で報告されました。幕領(倉敷代官所)、藩領(岡山藩)、旗本領(戸川家)と支配者が入り組んだ備中国南部において、用水を管理するために成立した沢所組の実態と、嘉永
6年に起きた用水をめぐる争論について検討されていました。この沢所組の運営には、大庄屋や郡中惣代といった中間支配機構が介入せず、組を構成する村々の庄屋や名主によって行われていた点から、領を越えた地域社会の自治が見られることを明らかにされました。

報告後の質疑応答では、まず板谷さんの報告に対して、新吉原とその周辺に広がる地域の性格を把握する必要性があることや、売られる女性の意識はどうだったのかという遊女の主体性に関する問題等について意見が出されました。山田さんの報告については、沢所組を構成する村々の規模や、その自治の実態はどれほどであったのか、争論において自治が機能しなくなった場合の支配者側との関係性等について議論となりました。

前回の例会に引き続き、今回も多くの方が例会に参加してくださいました。今回の例会をとおして、研究史を整理し、史料を丁寧に読み込んだ上で様々な視点から解釈していくことの重要性を改めて認識しました。歴史学の研究に携わる者にとって当然のことではありますが、はたして自分にはそれができているか、反省しなければならないように思います。

報告をして下さったお二人の方,ありがとうございました。(小野)

6月例会は、下記の要領で開催いたします。ふるってご参加下さい。


○6月例会

日時:610日(土)13:30

場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

報告者:別府信吾さん

タイトル:「塚村嘉伝太編著『剥復録』と西山拙斎」

4月例会報告

4月例会を、415日(土)13:30から行い、14名の方が参加してくださいました。

 

原豊二さんが、「池田光政書写本について~和歌関連資料を中心に~」と題して報告されました。近年、池田光政が筆写した風葉和歌集が見つかりましたが、それ以外にも光政や綱政が筆写した和歌集があり、誰に見せてもらったのかや、どうしてそのような筆写をしたのかについて検討した事柄について話してもらいました。

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参加者からは、和歌集等についての情報のやりとりをどのようにしていたのか、なぜ何度も筆写したのか、藩主の文化活動とはどのようなものだったのか等の質問があり、活発な話し合いが行われました。

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忙しい中、報告してくださった原さん、ありがとうございました。

 

5月以降の例会は、下記の通りです。

5月例会

日時:513日(土)13:30

場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

報告者(1):板谷真由さん

タイトル(1):「17世紀後半の新吉原と浅草田町」

報告者(2):山田祐理子さん

タイトル(2):「近世後期備中の用水組合と地域自治ー都宇郡沢所組の事例からー」

※なお、当日18時から、鳥好野田屋町店で懇親会を行います。希望される方は、56日(土)までに上村和史さん(uemura05(アットマーク)gmail.com)までご連絡ください。

 

○6月例会

日時:610日(土)13:30

場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

報告者:別府信吾さん

タイトル:「塚村嘉伝太編著『剥復録』と西山拙斎」

4,5月例会のお知らせ

岡山地方史研究会の皆様

 4、5月例会を下記の要領で行います。ご参加下さいますよう、お願いいたします。

4月例会

日時:4月15日(土)13:30~

場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

題目:池田光政書写本について~和歌関連資料を中心に~

報告者:原 豊二さん(ノートルダム清心女子大学)

5月例会(日にちを替えております)

日時:513日(土)13:30

場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

報告者・題目: ○板谷真由さん「17世紀後半の新吉原と浅草田町」

         ○山田祐理子さん「近世後期備中の用水組合と地域自治ー都宇郡沢所組の事例からー」

その他:例会後に懇親会を行う予定です。こちらについては、後ほどお知らせいたします。

 

岡山地方史研究会

内池英樹