2016年6月例会報告

 6月11日(土)、6月例会を行いました(参加者:4名)。山下洋さんが「第一七師団の設置と風紀問題」と題して、報告をして下さいました。

 今回の報告では、日露戦争後に新設師団の誘致活動が全国的に活発化する中、その実態を風紀に関する諸問題を中心に、岡山地域を事例として当時の新聞記事から検討されていました。

 師団をはじめとする軍隊の存在は地域社会に大きな影響を及ぼしますが、風紀に関する主要論点としては、やはり遊郭が挙げられます。岡山地域でも従来から存在した遊郭の位置をめぐって、様々な意見を持つ人々が現れます。報告では、師団設置による地元経済への効果を期待した経済界や、風紀悪化を懸念し「教育地」である岡山を守ろうとする教育関係者等、兵士だけでも数千人規模の人口増となる師団設置をめぐって生じた地域社会内部のせめぎあいについて、明らかにされていました。
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 報告後の議論では、師団誘致活動だけでなく師団設置後における地域社会の様相を、物流や就業別人口等を例に数値を用いて分析することも必要である、他の師団設置地域との比較をとおして岡山地域の特質が見えるのではないか等といった意見が交わされました。また風紀問題だけでなく、師団誘致活動における用地買収や設置費用の点についても議論となりました。

 近代日本を考える上で軍隊は重要な論点の一つですが、地域社会と軍隊との関係をめぐる研究は近年になってようやく盛んになりました。「天皇の軍隊」と称されることが多い日本軍がどのように地域社会や一般民衆と関わっていたのか、史料の残存状況にもよりますが、各地域での事例研究の蓄積が今後も必要だと思われます。

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次回は、下記の要領で行います。皆さんのご参加、お待ちしています。

日時:7月2日(土)13:30~ 

場所:岡山大学 総合研究棟 2階演習室(5)

報告者:古林小百合さん

タイトル:「文化人による地誌出版の動機と経緯―備中国川上郡平川村庄屋平川金兵衛による地誌『備中府志』の出版活動を事例として―」

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