2009年9月例会報告

9月例会は,小学館から発刊された『日本の歴史』の近代部分13~15巻の合評会を行いました。
各巻の担当は,13巻首藤ゆきえさん,14巻山下洋さん,15巻井本真理さん,全体を通して倉地克直さんでした。当日は,15巻の執筆者で,近代の編集委員をされた大門正克さんもお見えになりました。担当してくださったみなさん,大門さん,本当にありがとうございました。

細かなことは,来年発刊予定の『岡山地方史研究』に掲載する文章を読んでいただければと思います。参加した方々からいろいろと意見も出ましたが,あらっぽく一言でまとめると,「これまでの通史とは異なり,民衆の息づかいが感じられるシリーズである」ということでしょうか。
是非,ご一読いただければと思いました。

例会終了後は,場所をかえて懇親会を行いました。いろいろと話の花が咲く,これまた充実した会になりました。

10月例会は,10月17日(土)13:30から,岡山大学総合研究棟2階で行います。先般,岡山県から刊行された『長島は語る(後編)』の書評を行います。ふるってご参加ください。お待ちしております。

                                                             (文責:内池英樹)

(写真は,例会の様子と大門さんです)

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2009年7月例会報告

7月例会は,薗部寿樹さん(山形県立米沢女子短期大学教授)による「岡山県の名主座(宮座)について」の報告でした。薗部さんは,自治体史を活用するだけではなく,可能な限りの史料調査やフィールドワークもされており,山形県米沢市にお住まいにもかかわらず,非常に具体的なご指摘もあり,興味深い報告でした。
名主座が,中世以降どのような形で残ってきているのか等についても指摘されており,近世,近代を研究する参加者にとっても,有益な情報提供であったと思います。
詳しくは後日会誌に原稿を投稿していただけるということなので,そちらの方をお読みいただければと思います。
9月例会を下記の要領で行います。ふるってご参加ください。
なお,当日は15巻の執筆者で,編集委員の大門正克さんもこられる予定です。例会終了後,懇親会も予定しております。

日時:9月19日(土)13:30~17:00
場所:岡山大学総合研究棟2階演習室
内容:小学館『全集 日本の歴史』近代部分3巻の合評会
・『日本の歴史 13』(担当:首藤ゆきえ)
・『日本の歴史 14』(担当:山下洋)
・『日本の歴史 15』(担当:井本真理)
・近代の巻全体のコメント 倉地克直

2009年6月例会

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6月 20日(土)に,第3回広島近世近代史研究会岡山地方史研究会の合同例会が行われました。
会場の福山市生涯学習プラザには,24名の参加者があり,2本の報告と質疑応答が交わされました。ご準備いただいた広島近世近代史研究会の石田さん,本当にありがとうございました。

報告1は,岡山地方史研究会から久住祐一郎さんが,「近世河川交通と地域社会-美作国久米南条郡押渕村船路堰留一件から見えること-」を提供してくれました。美作国の舟運について,地図や絵図,概念図を丁寧に用意してくれていて,広島の方々にも理解していただきやすかったのではないかと思います。地域社会における河川交通の姿をとらえ直そうとした,意欲的な取り組みでした。久住さんありがとうございました。

報告2では,広島近世近代史研究会の平下義記さんが,「明治期大地主の土地所有論理と経済倫理-福山義倉と信岡家を事例に-」を報告してくださいました。
寛政年間に設立された福山義倉の明治期における土地集積の状況についての報告でしたが,丹念な史料の分析を元に,明快な報告がなされました。松方デフレ期の福山義倉をどのように評価するのか,近世と近代の連続・非連続をどのように考えていけばよいのかなど,白熱した議論が交わされました。平下さんの今後の成果がとても楽しみな内容でした。

例会終了後,近くに場所を移して懇親会が行われ,例会と同様大変盛り上がることができました。
一つだけ残念だったのは,岡山からの参加者がわずか3名だったということです。日程の設定も含めて,今後の課題です。

2009年5月例会報告

今日は,難波修さんによって「含章洞本『吉備前鑑』の発見」と題して報告してもらいました。『吉備前鑑』は,近世に記された地誌として知られていますが,詳細な分析はこれまで行われていません。
難波さんの報告によれば,元禄期を中心として『吉備前鑑』が編さんされる一方,それ以前に複数の関連する地誌があり,それらを利用して『和気絹』などが書かれていったということでした。
詳細については,いずれ会誌に掲載されることになると思いますが,これまで史料としては活用されていたものですが,その内容や成立過程についてしっかりとした考察をされたことは,岡山地域の研究にとって非常に有益なことだと感じました。
質疑応答も大変盛り上がり,会が終了しても一部の参加者が残って話し合う姿が見られました。難波さん,興味深いお話ありがとうございました。

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次回例会は,6月20日(土)に,広島県福山市を会場として行います。詳細については,掲示板やメールにてお知らせいたします。ふるってご参加ください。

2009年4月例会報告

本日、岡山大学総合研究棟2階演習室において、小学館から刊行された『日本の歴史』10~12巻の合評会を行いました。
定兼(10巻)、沢山(11巻)、久住(12巻)の三氏が書評を行い、参加者からも感想・意見を出して貰いながら会を進めました。10巻執筆者水本邦彦さん、12巻執筆者倉地克直さんも参加してくださり、丁寧に疑問や意見に対してコメントをしていただきました。

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「斬新」「わかりやすい」という感想が多く聞かれましたし、地域史から日本史を語ることができることを改めて教えて貰ったという意見もありました。

また、洛中洛外図などの絵画資料をより積極的に見ていくきっかけになったというコメントもあり、これまでも行っていた参加者それぞれの取り組みの中に、様々な刺激を与えてくれるシリーズとなったようです。

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本日の合評会については、後日発刊予定の会誌に反映する予定です。詳しくはそちらをごらんください。

次回は、5月23日(土)13:30から、岡山大学文学部1階史学合同演習室にて、難波 修さんが「吉備前鑑」に関する報告を行います。ふるってご参加ください。

2009年3月例会報告

3月15日(日)13:30から、岡山大学総合研究棟2階演習室において、浅利尚民さん による「池田家旧蔵の文化財と歴史資料-近代における管理実態とその行方-」の報告がありました。

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岡山大学附属図書館所蔵池田家文庫(池田家文庫と省略)にある近代池田家に関する史料を読み解く中から、明治20年代前後の池田家の家政や資料・什器の分類生理がどのように行われていたのか、また明治から大正にかけてどのように変化していったのかについてお話をしていただきました。

詳細については、4月に世に出るとのことなので、ここではあまり詳しく書きませんが、現在池田家文庫に残されている史料を見ていくことで、調度方・記録方などに分かれていた近代池田家家政を明らかにできることが分かりました。また、近代に入ってから調度・記録ともに定期的に目録が作成され、管理されていたという実態も見えてきました。
これまであまり明らかにされてこなかった部分であり、刊行される文章が俟たれます。

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参加者からは近代池田家家政や池田家史料・什器がどのような資料群として成立していたのかなどについて活発な意見がでて、大変盛会になりました。

浅利さん、大変興味深い報告をしていただき、ありがとうございました。

次回は、4月26日(日)13:30から岡山大学総合研究棟2階演習室にて、小学館『日本の歴史』10巻~12巻の合評会を行います。ふるってご参加下さい。

2009年2月例会報告

2月15日(日)13:30から、岡山大学総合研究棟2階演習室において、小野 博さん による「デジタル岡山城下絵図とGIS」の報告がありました。

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現在作成中のシステムで、岡山城下絵図や明治・昭和期の地図、現在の市街地図や航空写真などを組み合わせて見ることによって、歴史学的にどのようなことが検討できるようになるのか、またその課題は何かというお話をしていただきました。

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デジタル処理による補正を加えることによって、現在の地図とほぼ重ねることができるようになり、場所がより正確に特定できる可能性が出てくることや、市街地の歴史的形成過程を絵図・地図を重ね合わせることで容易に検討できるようになるなど、非常に興味深い内容でした。

参加者からも活発な意見がでて、大変盛会になりました。

個人的には、視覚的に分析ができるというおもしろさは十分に感じることができました。その一方で、数多く発信されるようになる情報をいかに精選して利用するのかなど、便利な反面で起こりうる問題を十分に検討しておくことが大切だという課題があると思いました。

小野さん、貴重な報告をしていただき、ありがとうございました。
次回は、3月15日(日)13:30から岡山大学総合研究棟2階演習室にて、浅利 尚民さんが 「池田家旧蔵の文化財と歴史資料(仮)」と題して報告されます。ふるってご参加下さい。

2009年1月例会報告

今年最初の例会が1月24日(土)13時半から、岡山大学総合研究棟2階演習室で行われました。森俊弘さんが「金川松田氏の系譜と事跡―通史的言説の形成過程とその元像―」と題して報告されました。多くの方が参加して下さいました。ありがとうございました。

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(報告概要)森さんの報告は、備前国金川城を本拠地としていた金川松田氏の系譜や事跡について、近世期に作成された資料と同時代資料との組み合わせながら考察を加えたものでした。

使用された資料は多岐にわたっていて、まとめてご紹介できないほどの数でしたが、縁起なども含めてとても興味深いものでした。しかし、参加者からも質問が出たように、松田氏当主と各史料に出てくる人物をどのように特定していくかが、やはり課題として残ったように思います。

また、宗教勢力と松田氏との関係についても、どの時点でどのような目的で松田氏がそのような指向を持ったのか、その後の岡山県地域にどのような影響を与えていったのかも議論がありました。

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森さんも言われていたように、基礎的な事実関係をしっかりと押さえていくような地道な研究がまだまだ必要ですし、今回のような提案を元にいろいろな角度から検証を加えていくことはとても有意義な取り組みだと思いました。

次回は、2月15日を予定しています。詳しくは、掲示板・メールをご覧下さい。

2008年12月例会の報告

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今回から,ブログ形式での月例会報告にしました。

12月13日(土)13時から,岡山大学総合研究棟2階演習室で,藤田則之さんに「片山金弥と窪田善之介の編暦と天体観測について-窪田家資料の記録を中心として- 」と題して報告していただきました。

(藤田報告概要)岡山藩士片山金弥・窪田善之介らによって作成された「岡山暦」は,天保暦と比較してどのような特徴があるのか,またどのように作成されたのかについて,丁寧な分析・報告が行われました。

はじめに近世の暦について説明があり,不定時法による時刻がどのような仕組みで刻まれていたのかを知ることができました。特に,季節によって変化する明六つが,日の出の36分前に設定されていたこと,日食・月食の日時を予想したものを暦にいれていたことには,参加者から多数質問・意見が寄せられました。

また,複雑な計算を行った結果に作成された「岡山暦」からは,当時非常に高度な科学技術を藩士が作成できた岡山藩の教育水準の高さを知ることもできました。

今回の報告内容は,『岡山地方史研究』へ投稿していただけるということですので,詳しい内容はそちらをご覧下さい。

(総会概要)
最初に今年度の例会運営に関することなどについて内池から報告・提案しました。例会は全10回,合計134名が参加してくださいました。ただし,報告者や参加者が固定される傾向が見られるので,積極的な会の活動への参加をお願いしました。
その後,会長,事務局,編集局の選出があり,以下のように決まりました。
会長:妻鹿淳子
事務局:村上 岳 (補佐)山本太郎,内池英樹,森 俊弘
編集局:倉地克直(補佐)定兼 学,山下 洋
会計監査:金谷芳寛

今年度の会計報告・来年度予算については,後日まとまり次第,会誌で公開する予定です。しばらくお待ち下さい。

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