岡山地方史研究会ウェブサイトを開設しました。今後、例会や会誌『岡山地方史研究』について、さらには岡山県内でのイベント情報についてもお知らせします。
お知らせ
2019年11月例会報告
11月例会報告
11月16日(土)、11月例会を行いました(参加者:8名)。小野功裕さんが「総力戦体制下の軍隊と地方行政―岡山県を事例に―」と題して報告をしてくださいました。
小野さんは軍隊と地域との関係や総力戦体制にかんする先行研究をふまえつつ、日中戦争時の岡山県を題材として、兵事行政における県と軍隊との関係やその変化について検討されました。
報告では、村に残された行政文書を用いて、県単位での兵事行政の展開過程が追究され、徐々に軍隊が銃後社会と直接向き合うようになり、県と軍隊とが連携した体制が構築されていく様相が明らかにされました。
討論では、兵事行政における体制の変化が地域や住民に与えた影響、軍部や中央省庁と県政との関係、制度の見取り図を示す必要性などが議論されるとともに、研究史上でもあまり類例のない重要な研究である点が指摘されました。
報告していただいた小野さん、ありがとうございました。(東野)
次回以降の例会は下記の予定で行います。ふるってご参加ください。
〇12月例会
日時:12月21日(土) 13時開始 ※通常より30分早い開始となります。
場所:岡山大学社会文化科学研究科総合研究棟2階演習室(5)
報告者:東野将伸さん
題目:「近世―近代移行期における豪農の広域金融 ―播磨国・備前国における動向を事例に―」
〇総会並びに忘年会
12月例会終了後,引き続き同じ会場にて総会を行います。
〇忘年会
時間:12月21日(土) 18時開始
場所:鳥好野田屋町支店(岡山市北区野田屋町1-5-24)
費用:4,000円(飲み放題)
参加ご希望の方は,お手数ですが12月15日(日)までに,下記の連絡先までご一報ください。
Kosuke.051.o.1011(あっと)gmail.com
どうぞよろしくお願い申し上げます。
岡山地方史研究会
小野 功裕
10月例会報告
10月19日(土),10月例会を行いました(参加者:12名)。山田祐理子さんが「近世後期備中国における用水争論と地域秩序―都宇郡沢所用水組合を中心として―」と題して報告をしてくださいました。
山田さんは先行研究を踏まえ,近世の地域社会が領主支配との相互関係の中でどのように秩序を保っていたのかという点について,所領が錯綜する備中国都宇郡の沢所用水組合での用水争論を題材に検討されました。
報告では,争論が様々な要因のために内済困難となってゆく過程を明らかにされました。その際,経済力を背景に地域社会に対する発言力を持つ大商人や大地主といった有力者が倉敷代官所と地域社会との間に在って,社会内部の利害調整を行うことで秩序を保っていたことを指摘されました。
討論では,上記の有力者をどのように評価するかについて,組合とそれを形成する村との関係や領主権力の影響力といった点にも触れながら意見が交わされました。
報告していただいた山田さん,ありがとうございました。(小野)
次回以降の例会は下記の予定で行います。ふるってご参加ください。
〇11月例会
日時:11月16日(土) 13時30分開始
場所:岡山大学社会文化学研究科総合研究棟2階演習室(5)
報告者:小野功裕
題目:「総力戦体制下の軍隊と地方行政 ―岡山県を事例に―」
〇12月例会
日時:12月21日(土) 13時開始 ※通常より30分早い開始となります。
場所:岡山大学社会文化科学研究科総合研究棟2階演習室(5)
報告者:東野将伸さん
題目:準備中
〇総会並びに忘年会
12月例会終了後,同じ会場にて今年の総会を開催します。
総会終了後は場所を変えて忘年会を予定しています。詳細は後日に案内いたしますので,今しばらくお待ちください。
岡山地方史研究会
小野 功裕
10月例会のお知らせ
岡山地方史研究会の皆様
例会のご案内が遅くなってしまい,大変申し訳ありませんでした。
10月例会を次のとおり行いますので,ふるってご参会下さいますよう,よろしくお願い申し上げます。
9月につきましては,例会はお休みとなります。
〇10月例会
日時:10月19日(土) 13時30分開始
場所:岡山大学社会文化科学研究科総合研究棟2階演習室(5)
報告者:山田祐理子さん
題目:「近世後期備中国における用水争論と地域秩序 ー都宇郡沢所用水組合を中心としてー」
なお,11月と12月にも通常の例会を予定しております。
詳細は後日改めてご案内させていただきます。
岡山地方史研究会
小野 功裕
2019年7月例会報告
7月20日(土)13:30から、7月例会を行いました。参加者は、11名でした。
今回は、大門正克・岡田和弘・川内淳史・河西英通・高岡裕之編『「生存」の歴史と復興の現在ー3・11 分断をつなぎ直す』(2019年2月大月書店)(以下、本書)についての合評会でした。今回の合評会については、後日、会誌に掲載する予定です。この例会報告では、当日の主な流れを紹介します。
最初に、山下洋さんが、昨年度の西日本豪雨の被害ともあわせながら、本書で取り上げられている災害時における文化財を取り巻く様子や、人々の思いなどについて紹介してくれました。
その後、沢山美果子さんから、本書を書く一つの基盤になった気仙沼や陸前高田・福島でのフォーラムを踏まえて、6年間にも及ぶ取組の成果として、歴史研究者と現地の人々との関係をつなぎ直す実践であったこと等をコメントされました。
休憩を挟んで、編著者である大門正克さんから、山下さんと沢山さんのコメントを踏まえて、本書をつくるにあたって大切にしてきたことや、今も考えていること等を中心に話していただきました。
参加した皆さんからも、それぞれの観点(たとえば、自分が生まれ育った地域の歴史が失われてしまって危機感を持っていることや、歴史学という視点だけではなく様々な方面の人に読んでもらいたい、「分断」というものをどうのりこえていくのか等)での意見・感想が出てきて、それを再度大門さんにお答えいただいたり、参加した人たちと今後の課題として共有することができたように思います。
例会終了後は、場所をかえて、大門さんが東京に戻られるまで、本書を踏まえた意見交換が活発に行われました。
お忙しい中、ご参加下さった大門さん、本当にありがとうございました。
また、本の書評を用意してくれた山下さん、コメントを述べていただいた沢山さん、そして、参加してくださった皆さん、お世話になりました。
8月の例会はありません。次会は、9月以降になります。詳細が決まりましたら、改めてお知らせいたします。
(文責:内池)
2019年6月例会報告
今回の例会は、お二人の大学院生にそれぞれ卒業論文をまとめて発表していただきました。お二人とも、丹念に資料をあつめて分析されていると共に、研究対象の概要をしっかりとまとめられていたことが、印象に残りました。
緊張しながらの発表だったと思いますが、意見交換の場は、建設的な話し合いができ、今後のお二人のご研究の進展が楽しみになりました。
政次さん、吉藤さん、お疲れ様でした。また、大雨の中ご参会くださった皆さん、ありがとうございました。
(1)幕末維新期岡山藩の農兵 政次加奈子さん
幕末期の岡山藩において成立した農兵隊が、どのようにでき、どのように解体していったのかを明らかにしようとされました。農兵隊設置にあたり中心的な役割を果たした森下立太郎が、藩兵だけでは藩領を守ることができないと強く考えていたことや、当初は藩領守備を目的としていたのが、次第に長州や東北への出兵を求められていく様子などを紹介されました。
参加者からは、幕末維新期の動乱を考えていく一つの鍵として、農兵隊が興味深い存在であることなどのコメントがありました。ただ、他藩との比較の必要性や、近代軍隊への連続性・非連続性の検討などが必要ではないかという指摘がありました。
○中世出雲国における禅宗寺院の広まりと戦国大名尼子氏家臣団との関係 吉藤妃花梨さん
戦国大名尼子氏が、出雲国においてどのように禅宗寺院と関係を有していたのかについて、『雲陽誌』「出雲諸事雑記」などの近世地誌を用いて分析されていました。その結果、尼子氏やその国衆らはある一定の系統の寺院が領域に展開している可能性を明らかにしていました。
参加者からは、山名氏ゆかりの寺院が尼子氏に切り替わっていたことを指摘したことの重要性や、三沢氏から始まった出雲国への禅宗の展開が、一部の国衆のところでは展開されていなかった実態が分かったことが興味深いなどのコメントがありました。一方、近世地誌による戦国社会の復元をするならば、寺院関連の一次史料の分析が不可欠であることや、禅宗僧侶の戦国社会での役割が政治や外交に 携わっていたことがあることなどの指摘がありました。
(文責:内池英樹)
次回の例会は、7月20日(土)13:30から行います。当初、皆さんにご連絡した時には14時開始としておりましたが、開始時間が変更となっております。ご了承ください。
○7月例会
テーマ:大門正克ほか編『「生存」の歴史と復興の現在』(大月書店,2019年2月)の合評会
日時:7月20日(土) 13時30分 開始
16時30分頃終了予定
場所:岡山大学社会文化科学研究科総合研究棟2階演習室(5)
報告者:山下 洋さん
コメント:沢山美果子さん
※例会終了後には懇親会も予定されています。懇親会へ参加されたい方は、7月14日(日)までに、下記の小野の連絡先までご連絡ください。なお、翌日以降の参加希望には対応できませんので、ご了承下さい。
kosuke.051.o.1011(あっと)gmail.com
(メール送信の際には、(あっと)を@に変更してください。)
7月例会終了後の懇親会について
岡山地方史研究会の皆様
以前にお知らせしておりました7月例会終了後の懇親会について、詳細をご案内させていただきます。
日時:7月20日(土) 17時30分開始
場所:Ryoutei 奉還町本店(岡山市北区奉還町2丁目5-23)
費用:3,800円
参加ご希望の方は、お手数ですが7月14日(日)までに、下記の小野の連絡先までご連絡ください。
なお、翌日以降の参加希望には対応できませんので、ご了承下さい。
よろしくお願い申し上げます。
kosuke.051.o.1011(あっと)gmail.com
(メール送信の際には、(あっと)を@に変更してください。)
岡山地方史研究会
小野 功裕
近世史サマーセミナー(第58回)の御案内
岡山地方史研究会の皆様
今年度の近世史サマーセミナーのご案内をさせて頂きます。
近世史サマーセミナーは、今年で第58回を迎える催しで、全国から大学院生や大学教員、文化財関係者などが集まり、
日本近世史研究や歴史資料をめぐる活動について議論や情報交換を行っています。
今年は岡山県倉敷市を会場として開催することとなりましたので、岡山のみなさまにも詳細をお知らせさせていただきます。
ご関心のある方は、お問合せやご参加を検討いただけますと幸いです。
第58回近世史サマーセミナーのご案内
日時 2019年7月13日(土)14日(日)15日(月・祝)
会場 国民宿舎良寛荘(岡山県倉敷市)
*アクセス https://www.ryokanso.jp/access.html
日程 第1日(7月13日)全体会1、分科会
第2日(7月14日)全体会2、レクリエーション
第3日(7月15日)巡見(倉敷美観地区周辺)
全体会
全体会1「幕末維新期における改革と人々の経験ー変革の時代をどう生きるか? ー」
山本太郎「幕府代官陣屋元村倉敷・大原壮平の幕末維新」
塩原佳典「維新期藩校改革の再検討ー信濃国高島藩の皇学所をめぐる教化の諸相ー」
湯川文彦「中央・地方からみた幕末維新の経験」
全体会2「中国地方における災害と資料保全活動ー「平成30年7月豪雨」から考える ー」
山下香織「平成30年7月豪雨における岡山県内の対応」
西向宏介「「平成30年7月豪雨」被災文書の保全活動」
※いずれも仮題。報告順は変わることがあります。
分科会
伊故海貴則(立命館大学)/ 黒滝香奈(一橋大学)
越坂裕太(九州大学) / 小林優里(東京大学)
鈴木乙都(愛知学院大学)/ ルーベックイアン栄(京都府立大学)
費用 全日参加で30,000円程度(予定)
定員 70名(申込み先着順)
申込 氏名、性別、郵便番号・住所、電話番号、メールアドレスを明記の上、
6月23日(日)正午までにパソコンメールにて下記までお申し込みください。
参加申込者には、後日、分科会要旨などを含めた詳細な申込要項を送付いたします。
申込先 第五八回近世史サマーセミナー実行委員会
58samasemi.kinsei@gmail.com
連絡先 ご不明な点などがございましたら、前記アドレスまでお問い合わせください。
岡山地方史研究会
小野 功裕
2019年5月例会報告
5月11日(土),5月例会を行いました(参加者:8名)。北脇義友さんが「徳川前期領民の儒教の墓とその背景 岡山藩を例にして」と題して報告をしてくださいました。
北脇さんは17世紀後半の岡山藩領の儒葬墓を実地調査されました。そして,その成果と文献史料から岡山藩における儒教の広まりの様相とその背景を検討されました。報告では,藩内における儒教の広まりが備前領と備中領では差異があったことや,儒教を民衆に広める上で村役人の存在が大きかったこと等を指摘されました。
討論では,儒教の広まりと儒葬墓の増加との関連性や,墓を建てることに対する民衆の意識等について意見が交わされました。
報告していただいた北脇さん,ありがとうございました。(小野)
次回以降の例会は下記の予定で行います。ふるってご参加ください。
〇6月例会
テーマ:卒業論文報告会
日時:6月15日(土) 13時30分開始
場所:岡山大学社会文化学研究科総合研究棟2階演習室(5)
報告者・題目
吉藤妃花梨さん「中世出雲国における禅宗寺院の広まりと戦国大名尼子氏家臣団との関係」
政次加奈子さん「幕末維新期岡山藩の農兵」
〇7月例会
テーマ:大門正克ほか編『「生存」の歴史と復興の現在』(大月書店,2019年2月)の合評会
日時:7月20日(土) 14時開始
場所:岡山大学社会文化科学研究科総合研究棟2階演習室(5)
報告者:山下洋さん
コメント:沢山美果子さん
当日は編者の参加も予定されています。
※合評会後には懇親会を予定しています。詳細は後日案内いたします。
2019年4月例会報告
4月13日(土),4月例会を行いました(参加者:8名)。辰田芳雄さんが「新翻刻文書に見える賀茂別雷神社領備前国竹原荘の守護請について―洞松院尼・赤松義村・浦上村宗・宇喜多久家―」と題して報告をしてくださいました。
辰田さんは賀茂別雷神社が所蔵する文書の中から備前国竹原荘に関する文書を新たに発見され,そこから永正年間頃の守護請について幕府内部の政治状況を踏まえながら考察されました。また報告の中で,宇喜多久家に関する従来説の再検討も行われました。
討論では,竹原荘の守護請に宇喜多久家がどのように関わっていたのか,守護請に要した費用がその実態をどこまで反映しているか等について,意見が交わされました。
報告していただいた辰田さん,ありがとうございました。(小野)
次回以降の例会は下記の予定で行います。ふるってご参加ください。
〇5月例会
日時:5月11日(土) 13時30分開始
場所:岡山大学社会文化学研究科総合研究棟2階演習室(5)
報告者:北脇義友さん
題目:「徳川前期領民の儒教の墓とその背景 ―岡山藩を例として」
〇7月例会
日時:7月20日(土) 14時開始
場所:岡山大学社会文化科学研究科総合研究棟2階演習室(5)
大門正克ほか編『「生存」の歴史と復興の現在』(大月書店,2019年2月)の合評会
報告者:山下洋さん
コメント:沢山美果子さん
当日は編者の参加も予定されています。
本書は東日本大震災以来行われてきた「歴史実践」の第二弾です。昨年の西日本豪雨災害からの復興を考える上でも示唆に富んでいます。なお,合評会後には懇親会を予定しています。