2017年1月例会報告

129()1月例会を行いました(参加者:6)。辰田芳雄さんが,「林原美術館蔵池田光政自筆・岡山県立博物館蔵池田綱政自筆「古文孝経和歌」について ―明応二年四月二日一条兼良十三回忌追善の勧進和歌の発見― 附録:文明十二年九月一日起日後土御門天皇主催着到和歌」と題して,報告をして下さいました。

報告では,まず一五世紀後半から一六世紀前半に流行した着到和歌の概要について,お話くださいました。この着到和歌の中で『孝経』を題として詠まれたものが一条家に伝わり,池田光政は,次女の輝子が一条家へ嫁いだことから詠古文孝経和歌を入手したのではないかと推測されていました。

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報告後の質疑応答は,大名が和歌を写す意味は何かという点を中心に進みました。池田家に限らず,近世には多くの大名が様々な和歌の抜き書きをしています。辰田さんは,それは公家文化への憧れにとどまらず,中世以来の朝廷を中心とした伝統を利用することが,大名による支配への権威付けに寄与するものではなかったかと述べられていました。また光政が和歌の中でも詠古文孝経和歌を写したことについては,儒学を推進した彼の政治行動を裏付けるという側面が考えられるのではないかとも述べられました。

辰田さん,ありがとうございました。(小野)

2017年1月例会のお知らせ

会員の皆様

明けましておめでとうございます。今年も、どうぞよろしくお願いいたします。

1月例会を、下記の通り行います。ふるってご参加下さい。

なお、2月以降については、調整を行っております。決まりましたらお知らせいたしますので、今しばらくお待ち下さい。

☆1月例会

報告者:辰田芳雄さん

タイトル:林原美術館蔵・岡山県立博物館蔵池田光政・継政自筆「古文孝経和歌」について―一条兼良十三回忌追善の勧進和歌ー

附録:文明十二年九月一日起日後土御門天皇主催着到和歌

日時:1月29日(日)13時半~

場所:岡山大学総合研究棟2階演習室(5)

内池英樹

12月例会報告

12月4日(日)午後に、12月例会を行いました。

今回は、次田元文さんが「岡山藩の医者について」と題して報告してくれました。

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岡山大学附属図書館にある池田家文庫の史料を用いて、岡山藩の医者の組織の全体像を明らかにしようとしたもので、どのような役割分担をしていたのかや、誰がその役職を勤めたのか等、具体的に説明されました。

参加した方からは、牛窓等の在番があったところにいた医者が、どのような理由で異動してったのかや、医者の後継者はどのように定められていったのか等について、質問が出る等しました。
次田さん、貴重な報告をありがとうございました。

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その後、総会が行われました。総会では、来年の会長及び委員の人選や会の予算等について報告をがありました。

2017年の体制
会長:定兼 学
編集局(局長)倉地克直 (局員)沢山美果子、三宅正浩、山下 洋
事務局(局長)村上 岳 (局員)小野功裕、内池英樹、久野 洋、東野将伸、上村和史
会計監査 金谷芳寛

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

来年1月の例会は、1月下旬を予定しています。決まりましたら、お知らせいたします。

11月例会の報告

1119()11月例会を行いました(参加者:9)。飯島章仁さんが、「岡山市立図書館所蔵の山田貞芳旧蔵書について」と題して、報告をして下さいました。

 山田貞芳氏は、明治から大正期にかけて岡山地域で活躍した歴史家であり教育家です。山田氏の蔵書は昭和3年に山田文庫として約3,500冊余が岡山市立図書館に寄贈されましたが、岡山空襲の際に大半が焼失し、現在80数冊が残っています。

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 例会では飯島さんが山田文庫の内容を、詳細な目録を作成して紹介してくださいました。また、岡山藩に学者として仕えていた小原大丈軒の著書や彼が筆写した書物が山田文庫に多く含まれていると指摘されていました。

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 報告の最後では、山田文庫の中には保存状態が悪いものもあるため修復を進めていくとともに、そのような状態の史料を一般に広く公開していくためにも、史料のデジタル化をより一層進めていく必要があると述べられました。

飯島さん、ありがとうございました。(小野)

12月例会については、先にアップした記事をご確認ください。


11月・12月例会のお知らせ

岡山地方史研究会員の皆様

今まで契約していたサーバーが、ホームページサービスを終了したため、下記のところへ移設しています。
また、次回例会の案内についても、例会報告を行っていたところに集約いたします。ご了承下さい。

新HP:http://www.geocities.jp/okayama_chihoshi/

例年10月に例会を行っておりますが、今年は11月に下記の日程で行うことにいたします。

日時:11月19日(土) 13:30~16:45

場所:岡山市立中央図書館2階会議室

報告者:飯島章仁さん

題目:「岡山市立図書館の山田貞芳旧蔵書について」

備考:当日は、岡山市立中央図書館を利用して行います。駐車料金等は、実費をご負担ください。

☆12月例会

日時:12月4日(日) 13時~17時
場所:岡山大学総合研究棟2階演習室

報告者:次田元文さん「岡山藩の医者について」
      内池英樹「新出資料の紹介(仮)」
例年行っている総会も行う予定です。忘年会については、現在検討をしています。行うことになりましたら、改めてお知らせいたします。

2016年9月例会報告

9月17日(土)13:30~、岡山大学総合研究棟2階演習室で、9月例会を行いました。参加者は、10名でした。
今回は、難波修さんが、「編著物の執筆者とその周辺-情報の伝播と方向性に関する一考察-」と題して報告してくださいました。
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発表していただいたレジュメにあった概要を元にすると、『吉備前鑑』(以下、『前鑑』)の成立過程における増補記事に着眼して、「俳諧」や井原西鶴作品の題材等を検討したところ、光政・綱政期の岡山城下における人間関係が大きく影響を与えていたということでした。
登場する人物が多岐に亘っており、お話しを追いかけていくことが大変な場面がもありましたが、『前鑑』という近世編纂物を詳細に分析することで、当時の岡山藩池田家の一側面を見ることができることが分かりました。
詳細については、今後、原稿化されると思いますので、そちらを楽しみにお待ちください。
難波さん、ありがとうございました。
次回以降の例会については、後日ご紹介したいと思います。今しばらくお待ちください。
 

2016年7月例会報告

 7月2日(土)、7月例会を行いました(参加者:9名)。大阪大学大学院の古林小百合さんが、「豪農による地誌出版の経緯とその受容―備中国川上郡平川村平川金兵衛による地誌『備中府志』の出版活動を事例として―」と題して、報告をして下さいました。

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 『備中府志』は、平川村の庄屋を務めた平川金兵衛が備中国の古城跡について著した地誌です。報告では、先行研究の成果を踏まえながら、平川金兵衛が大坂の書肆毛馬屋から『備中府志』を自費出版した経緯について、主に平川金兵衛と毛馬屋との書状等から詳しく分析されていました。

 参加者からは、出版された『備中府志』の受容層は由緒を持つような上層農民に限られたのではないか、自費出版の場合、版木の所有権は著者と書肆のどちらにあるのか、『備中府志』を出版した毛馬屋の性格などについて、意見が出ました。また報告では、『備中府志』は武士層にも読まれていたことが指摘されていましたが、史料解釈を通して、その武士は備中国出身あるいは何らかの関わりを持つ者であったのではないかといった意見も出ました。
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 個人的には不勉強な部分が多く、終始参加者による議論の傾聴でした。今回の報告を通して、庄屋クラスの上層農民が地域の過去に目を向けてその成果を地域へ還元した点に、近世の人々が持っていた地域意識の一端を感じることができたと思います。(小野)

2016年6月例会報告

 6月11日(土)、6月例会を行いました(参加者:4名)。山下洋さんが「第一七師団の設置と風紀問題」と題して、報告をして下さいました。

 今回の報告では、日露戦争後に新設師団の誘致活動が全国的に活発化する中、その実態を風紀に関する諸問題を中心に、岡山地域を事例として当時の新聞記事から検討されていました。

 師団をはじめとする軍隊の存在は地域社会に大きな影響を及ぼしますが、風紀に関する主要論点としては、やはり遊郭が挙げられます。岡山地域でも従来から存在した遊郭の位置をめぐって、様々な意見を持つ人々が現れます。報告では、師団設置による地元経済への効果を期待した経済界や、風紀悪化を懸念し「教育地」である岡山を守ろうとする教育関係者等、兵士だけでも数千人規模の人口増となる師団設置をめぐって生じた地域社会内部のせめぎあいについて、明らかにされていました。
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 報告後の議論では、師団誘致活動だけでなく師団設置後における地域社会の様相を、物流や就業別人口等を例に数値を用いて分析することも必要である、他の師団設置地域との比較をとおして岡山地域の特質が見えるのではないか等といった意見が交わされました。また風紀問題だけでなく、師団誘致活動における用地買収や設置費用の点についても議論となりました。

 近代日本を考える上で軍隊は重要な論点の一つですが、地域社会と軍隊との関係をめぐる研究は近年になってようやく盛んになりました。「天皇の軍隊」と称されることが多い日本軍がどのように地域社会や一般民衆と関わっていたのか、史料の残存状況にもよりますが、各地域での事例研究の蓄積が今後も必要だと思われます。

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次回は、下記の要領で行います。皆さんのご参加、お待ちしています。

日時:7月2日(土)13:30~ 

場所:岡山大学 総合研究棟 2階演習室(5)

報告者:古林小百合さん

タイトル:「文化人による地誌出版の動機と経緯―備中国川上郡平川村庄屋平川金兵衛による地誌『備中府志』の出版活動を事例として―」

2016年4月例会報告

4月24日(日)午後、4月例会を行いました(参加者:8名)。
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今回は、島村豊さんが「宇喜多直家による島村豊後守入道観阿彌の「仇討談」について」について報告されました。
戦国期、宇喜多直家による島村氏への仇討ちについて、近世編纂物や一次史料を収集、整理して、検討した内容でした。

国人領主島村氏については、史料が少ないのですが、岡山県内はもちろんですが、中国・九州地方まで史料探索をされたことを元に、お話しいただきました。

参加者からは、近世編纂物の利用に関する可能性と課題、国人領主島村氏自体の評価をどうして考えたら良いのか等、建設的な話し合いで盛り上がりました。
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報告してくださった島村さん、参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

次回は、5月14日(土)に『幕藩政アーカイブズの総合的研究』の合評会を行います。詳細については、会の掲示板に載せておりますので、そちらをご覧ください。

なお、今年9月をもって、現在使用しているホームページのサーバーが使えなくなることから、下記のアドレスへと変更しました。ブックマークされているURLの変更をお願いします。

http://www.geocities.jp/okayama_chihoshi/

2月例会について

2月例会について

下記の要領で行います。すでに、参加希望受付は終了しました。資料の準備等の関係で、新たな参加はお引き受けできません。ご了承ください。

☆2月例会
四国中世史研究会と合同の例会になります。内容は、林原美術館蔵の石谷家文書 を利用した研究発表会を予定しています。
日時:2月27日(土)13:00~
場所:岡山県立博物館講堂
備考:例会への参加にあたっては、資料代500円が必要になります。

3月以降の例会を希望される方は、内池までご連絡ください。

なお、4、5月については、すでに希望がありますので、3月もしくは6月以降の例会となります。ご了承ください。