『岡山地方史研究』128号の発刊について

『岡山地方史研究』128号が発刊されました。内容は、次の通りです。順次,会員の皆様には郵送されたのではないかと思いますが、購入を希望される方がおられましたら、内池までご連絡ください。

岡山地方史研究第128号 2012.12

論文 中近世移行期の備前国人と地域産業-林原美術館所蔵年欠八月四日付け宇喜多直家書状を端緒として-   森 俊弘(1)
研究ノート 備前国児島郡の大庄屋の変遷について  … 北村 章(23)
2011年度会計決算・監査報告 … (38)
編集後記 … (38)
岡山県関係論文目録・抄(近世の部,2005~2010年) … (39)
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『岡山地方史研究』127号の発刊について

『岡山地方史研究』127号が発刊されました。内容は、次の通りです。すでに会員の皆様には郵送されたのではないかと思いますが、購入を希望される方がおられましたら、内池までご連絡ください。

今回は、現在調査を和気町と岡山大学が調査を行っている大國家文書の特集が組まれています。

岡山地方史研究第127号 2012.9
大國家文書にみる豪農の生活と文化
大森満體像と史料   柳川真由美(1)
大國家と家相 … 森元純一(12)
大国家の相続と鬮文化 … 倉地克直(22)
書評 山本太郎著『近世幕府領支配と地域社会構造-備中国倉敷代官所管下幕府領の研究-』  山崎 圭(31)
参加記 平成二四年度岡山史料ネット講演会に参加して  浅野慎太郎(37)
編集後記  (38

2012年5月例会

本日、5月例会を行いました。報告者は、森元純一さんで、「近世後期における家相の位置づけをめぐって~大國家文書の世界~」という内容でした。

平成21年からはじまった資料調査の成果の一部を、今回はお話ししていただいたのですが、19世紀の大國家(当時は大森家)の心性にせまる興味深い話でした。

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段ボール箱150箱を超える資料群であり、これから資料調査が進む中で、さらに豊かな近世の人々の生活に迫ることができるのではないかと、個人的には期待をしました。

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なお、今回の報告内容も含めて、『岡山地方史研究』127号(今年発刊予定)で文章が掲載される予定ですので、そちらをお待ちください。

次回は、下記の要領で行いますので、ふるってご参加ください。
日時:2012年6月17日(日) 13:30~
場所:岡山県立記録資料館
講演:佐藤大介(東北大学・災害科学国際研究所)

2012年1月例会

本日,1月例会を行い,19名もの参加者がありました。「近世編纂物に於ける宇喜多騒動関連記事の再検討」と題して,難波 修さんに報告してもらいました。

近世編纂物の書誌をきちんとおさえ,それを元にしながら,江戸時代の人々がどのように戦国末期の岡山を描いたのかを分析された労作でした。書誌学,歴史学等の諸要素が意欲的に盛り込まれたため,難波さんが明らかにした成果が伝わりにくい部分もありましたが,それらを整理して述べていくことで,いくつもの成果が出てくるのではないかと思いました。

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参加者からは,宇喜多騒動の内部構造や,用いた資料の書誌等について質問が出て,大変活発な意見交換がなされました。今後,難波さんによって,今回の報告を整理したものが共有化されることを期待する意見も出ていました。

難波さん,興味深い報告をありがとうございました。

2月以降の例会は,2月18日(土),3月18日(日)を予定しています。詳しくは掲示板,メーリングリストにてお知らせいたします。

2011年5月例会報告

5月28日(土)13時から、岡山県立図書館2階サークル活動室1において、5月例会を開催しました。当日は、広島近世近代史研究会の方にもお越し頂きました。足下の悪い中、20名を越える方にお出で頂き、ありがとうございました。

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今回は、今年に入ってから存続について話題になっています林原美術館について、展示見学と同館浅利尚民学芸員による活動や資料の様子についてお話いただきました。

最初に私から簡単な林原美術館概要や、存続を巡ることについて情報提供を行いました。その後、林原美術館に移動して、浅利学芸員によるギャラリートークを拝聴しました。

5月29日(土)まで開催中の企画展「華やかな屏風」では、坤與万国全図屏風(世界図)や竹図屏風など、優雅で力強い屏風が展示されており、これまでの調査で明らかになってきたことを、浅利さんの丁寧な解説とともに楽しむことができました。

会場を図書館に戻して、引き続き浅利さんからこれまでの展示等によって分かってきたことや、林原美術館が所蔵している池田家伝来の資料群の意義等についてお話していただきました。岡山大学付属図書館に所蔵されている池田家文庫の資料群とともに考察していくことで、近世大名池田家を復元することができることがわかりました。

質疑応答では、林原美術館の資料の保存状況や、池田家資料の復元に対する見通し等、様々な視点での意見がありました。また、浅利さんが館に戻られた後には、林原美術館の資料をどのように活かしていくべきなのかについても話し合いました。

まとめとしては、林原美術館の展示を見に行き、どのような資料があるのか現物をしっかり見ること、また同館が刊行している紀要を講読して、どのような成果が積み重ねられているのかを知ること、さらには、「傍観者」としてではなく積極的に考えて、周囲の人たちへも働きかけていくことが大切ではないかということになりました。

例会終了後は、駅前の居酒屋において、時間の許す限り両会の参加者の懇親会を盛会の中で終えることができました。

貴重な情報提供をしていただいた林原美術館の浅利尚民さん、ならびに林原美術館の皆様のおかげで、大変盛り上がった会を行うことが出来ました。この場をかりて御礼申し上げます。ありがとうございました。

次回例会は、6月25日(土)13:30から、岡山大学総合研究棟において行います。報告者は森俊弘さんで、題は「関係史料からみた妙善寺合戦―主に古伝承の検討を通じて―」の予定です。ふるってご参加下さい。

2011年4月例会報告

4月16日に、山本太郎さんが「幕末維新期幕府領陣屋元村豪農商の金融―備中国窪屋郡倉敷村大橋家を事例として―」と題して報告をしてくださいました。

 

備中国窪屋郡倉敷村(現倉敷市美観地区)で豪商として活躍した大橋家を中心に

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分析されたもので、文政年間から幕末にかけての大橋家の動向や経済活動の状況などが豊富な資料が用意されていました。

その中からは、時代の状況にあわせてたくましく活動する様子や、幕藩権力の衰退に伴う多額の献金の実態などを知ることができました。
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質疑応答の中で、大橋家当主がいわゆる「身上がり」を求めていたのか、大橋家の経営がひとつの家としての経営なのか、それとも地域経済の中の一部として考えるべきなのか等が話題としてでてきました。

山本さんの著書『
近世幕府領支配と地域社会構造』でも取り上げられている大橋家の研究がさらに進んでいることをおうかがいすることもできました。ありがとうございました。

2010年7月例会

7月17日(土)13:30から,7月例会を行いました。
報告者は久住祐一郎さんで,「近世河川交通からみる「流域社会」―高梁川北部流域を中心として―」と題して報告してもらいました。当日は,大阪からも参加者がありました。

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用いた史料は,新見市I家に伝来する河川運に関するものでした。新見藩船差役がどのように機能していたのか,高梁川北部ではどのような物流が行われていたのか等,興味深い報告でした。
流域社会をどのように定義するのか,河川運を担当していた人々の具体像について,近代への展望等,質疑応答も非常に盛り上がりました。
久住さん,忙しい中ありがとうございました。

例会終了後,岡山駅近くで暑気払いを行いました。参加者16名が,時間を忘れて話をすることができました。

お忙しい中,集まって下さったみなさん,ありがとうございました。

次回例会は,9月を予定しております。日時・場所が正式に決まりましたら,掲示板・メーリングリストにてご連絡いたします。しばらくお待ち下さい。

 

2010年5月例会報告

今回は,井本真理さんと沢山美果子さんが「医療史の研究動向と研究課題-近世・近代を中心に-」と題して,報告して下さいました。まず最初に,井本さんが近代における医療史の整理・分析をされ,その後沢山さんが近世部分について報告するというスタイルでした。研究動向としては,1980年代を契機に様々な研究成果が出てくるようになっており,そのことは近世史・近代史に共通しているということが指摘されました。
お二人が作っていた文献目録は,参加した方たちにとって,大きなお土産になったのではないかと思います。

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質疑応答の中では,参加者がそれぞれの経験であったり,研究分野に引き寄せたりしながら,大いに議論が盛り上がりました。それらを乱暴にまとめてしまうと,「医療史」という枠組みからは,国家やその時代を生きる人々の様子を描き出すことができ,また社会史や民俗学などの視点をも含めて考察することができる可能性をお二人の整理・分析から見いだすことができたように思います。

 

今回の試みが,今後どのように発展していくのかが,参加していた一人として楽しみに思います。井本さん,沢山さん,どうもありがとうございました。

次回は,6月20日(日)に広島近世近代史研究会との合同例会を,福山市内で行います。詳しくは,掲示板に掲載いたしますので,そちらをご覧下さい。
また,今年は7月に例会を開催する方向で調整に入っています。決まりましたら,メーリングリストや掲示板に掲載いたします。

2010年4月例会報告

今回は,妻鹿淳子さんが、「万喜の手紙が語る旗本の生活」と題して報告してくださいました。

岡山県北の旧家に残されていた万喜に関する書状20数通を丁寧に分析し,その結果をまとめた内容でした。非常に多くの内容であり,この例会の時間の中で全てを紹介することはできなかったようですが,参加した方との質疑応答が盛り上がったことから考えても,非常に興味深いものでした。

近世後期に旗本の妻であった万喜が見た近世社会はどのようなものであったのか,万喜から見た家とは。など,一つ一つの話題が,女性という視点はもちろんですが,近世社会を考えていく上で貴重なものだったように感じました。

妻鹿さん、貴重なお話をありがとうございました。

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終了後には,会誌120号の発送作業を行いました。お手元に近々届くと思いますので,お楽しみに。振り込み用紙が入っている方は,お手数ですが会費の納入をお願いいたします。

次回は、5月15日(土)13:30~です。

2009年12月例会報告

 昨日,12月例会・総会・忘年会が終わりました。
妻鹿淳子さんが,「病者収容施設としての牢屋敷」と題して,近世における病者についての報告をして下さいました。
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 詳細は,ここでは書きませんが,今までとは別の視点で資料を見ていくことによって,江戸時代の病者を取り巻く環境を明らかにできるのではないかと感じました。
また,データを追加して文章化していただけると期待しております。

 総会では,役員選出,決算報告,予算承認,例会報告が行われました。
詳細については,後日会誌やこの場を通じてお知らせいたします。
決算報告,予算承認の中で,会費収益だけでは予算がまわっていかない現状が,村上事務局長より報告されました。基金からの補填を行わなければ,支払いができない状態,つまり経常赤字の実態になっているのです。

 

会費値上げも検討しなくてはならないかもしれませんが,まずは今年の会費を納入しておられない方々は,お手数ですが同封している振込用紙にて今年分と来年分(合計3000円)をお支払いください。
会の健全運営にご協力下さい。よろしくお願いします。